「働き方改革プロジェクト」の成果を発表したオンワード。“業務効率化”や“ワークライフバランス実現”が生産性向上に貢献か

株式会社オンワードホールディングスは2023年5月10日、2019年より取り組んできた従業員の働き方改革プロジェクトの成果を発表した。同社は2022年度より、従来の取り組みに加え、「シフト選択制」、「勤務間インターバル制度」などの新たな制度を導入している。本記事では、同プロジェクトを実施している株式会社オンワード樫山での2022年度の働き方改革の成果を、社内調査データを交えて紹介する。

生産性向上を目的とした働き方改革プロジェクトを2019年より推進

株式会社オンワードホールディングスは、2019年8月より働き方改革プロジェクト「働き方デザイン」を推進している。同取り組みの目的は、社員が業務効率化やワークライフバランスを実現し、生産性を向上することだ。これまで同社は週に1度、普段一緒に仕事をするチーム単位で「自分たちがより良い働き方をするために何をすべきか」を考える会議(通称:カエル会議)などに取り組んできたという。これにより、業務効率化に伴う残業時間削減や休日日数の増加といった効果が得られたとのことだ。さらには、仕事とプライベートの相乗効果の実現によるビジネス面での成果も出始めているという。

2022年度には、従来の取り組みに加え、13種類のシフトの中から勤務時間を決定できる「シフト選択制」や、前日の終業時間と翌日の始業時間との間を11時間確保する「勤務間インターバル制度」などを新たに導入した。このことで、2022年度の1ヵ月の平均残業時間は、「働き方デザイン」がスタートする前年度の2018年度比で52.5%減、年間の休日取得日数は4.4日増を実現したという。さらには、育児休業取得促進のための研修や、「仕事と育児の両立支援ガイドブック」の制定などの実施により、男性の育児休業取得率は国平均(13.9%)の4倍超となる60%を達成している。
「働き方改革プロジェクト」の成果を発表したオンワード。“業務効率化”や“ワークライフバランス実現”が生産性向上に貢献か

4つの新制度・研修を導入。柔軟な働き方や女性活躍、多様性などの取り組みを実施

なお、2022年度における「働き方デザイン」の取り組み実績および具体的な内容は下記の通りだ。

1.シフト選択制
13種類のシフトの中から勤務時間を決定する「シフト選択制」を導入。社員が仕事とプライベートのバランスを取ながら充実感を持って働くことができる環境を整備している。具体的には、「出社時と在宅勤務時でシフトを分ける」、「海外とのやり取りに合わせて遅めのシフトにする」、「趣味のスポーツ観戦の予定のために早めのシフトにする」といった活用方法を可能に。

2.勤務間インターバル制度
前日の終業時刻と翌日の始業時刻との間を11時間確保する制度。社員の健康の維持および向上を目的に、シフト制と併せて運用している。

3.メンター制度
女性活躍を推進するため、「女性の経営幹部候補の育成」を目的に導入。経験豊かな先輩従業員(メンター)が双方向の対話を通じ、後輩従業員(メンティ)のキャリア形成の課題解決や悩みの解消を援助し、個人の成長をサポートする制度。初年度の2022年度は、トライアルとして役員(メンター)に面談スキルなどの研修を、女性の部長(メンティ)とのメンタリングを隔週で実施。

4.研修制度
多様で個性的な人材の活躍をサポートするため、下記の研修制度を導入

●体幹型ダイバーシティ研修
チームをマネジメントする立場になった新任役職者を対象に、ダイバーシティを活かしたマネジメントの重要性への気づきを得る体験型研修

●ハラスメント研修
ハラスメント全体に関する知識を役職者が持ち、ハラスメントを起こさない・起こりにくい環境づくりを目指す研修

●Hanjin Onward Learning
日々の接客に役立つ情報や知識を動画形式で紹介するオリジナルコンテンツを用いた研修

●eラーニング
多様で個性的な人材をマネジメントする新しい時代に対応したスキルや、幅広く柔軟に知識を手軽にインプットできるコンテンツを提供

「シフト選択制」導入後、従業員の半数近くが「働きやすくなった」と回答

同社は、制度の効果を測るべく、「シフト選択制」の導入後に社内アンケートを実施した。同社が従業員に対し「シフト選択制導入後、自身の働き方(ワークライフバランス、業務効率など)に変化があったか」を尋ねたところ、「働きやすくなった」との回答は47%と半数に迫った。
「働き方改革プロジェクト」の成果を発表したオンワード。“業務効率化”や“ワークライフバランス実現”が生産性向上に貢献か
また、「どのような観点で『働きやすくなった』と感じるか」について尋ねたところ、最も回答割合が高かったのは「プライベートな予定(趣味や習い事)を入れやすくなった」で41%が回答した。他にも「育児や介護について、家族との役割分担をしやすくなった」(24%)や、「業務時間内の予定を組みやすくなった」(17%)などが上位にあがった。「シフト選択制」の導入により、柔軟な働き方やワークライフバランスを実現できている人が多いことがうかがえる。
「働き方改革プロジェクト」の成果を発表したオンワード。“業務効率化”や“ワークライフバランス実現”が生産性向上に貢献か
同社は今後について、「働き方デザイン」プロジェクトのスタートから5年目までに固めた土台を基に、多様で個性的な人材が活躍するための施策を運用していくとしている。

本発表より、同社が2019年から取り組んできた働き方改革が、残業時間の削減や休日取得日数、男性育児休業取得率の向上といった成果を上げていることが明らかとなった。また、社内調査結果から柔軟な働き方を可能とする制度導入が、従業員の“ライフ”とのバランスの実現に欠かせない要素であることがうかがえる。こうした先行事例を踏まえ、自社の働き方改革に関する施策を検討してみてはいかがだろうか。