若手社員に多い「五月病」、20代の休職経験者は約4割に。求められる五月病対策も、企業の対策は進んでいないのが実態か

ヘルスケアテクノロジーズ株式会社は2023年3月27日、「五月病に関する意識調査」の結果を発表した。調査期間は2023年3月11日~14日で、全国の20代~50代の会社員・公務員・経営者および役員の男女1,276名から回答を得た。調査結果から、ビジネスパーソンの「五月病」に関する意識や、企業の対策の有無などが明らかとなった。

半数以上が「五月病」の経験あり。「深刻な病気」と受け止める人も6割に

新年度が始まり1ヵ月が経過したゴールデンウィーク後の時期には、疲れや緊張がピークに達し心身に不調をきたす人もいる。一般的にこのような症状は「五月病」といわれているが、実際に経験したことのある人はどの程度いるのだろうか。ヘルスケアテクノロジーズはまず、調査対象者に対し「五月病になったことがあるか」を尋ねた。すると、「確かにある」(22.8%)と「あると思う」(32.8%)との回答が計55.6%と、半数以上が「ある」と回答した。

あわせて同社が、全体に対し「五月病は深刻な病気だと思うか」を尋ねた。すると、「とてもそう思う」(14.2%)と「ややそう思う」(46.9%)の回答が計61.1%と、「深刻な病気」と認識している人が6割を占めた。五月病を経験したことがない人も含めて、深刻に受け止めている人が多いのが実態のようだ。
若手社員に多い「五月病」、20代の休職経験者は約4割に。求められる五月病対策も、企業の対策は進んでいないのが実態か

五月病からの回復は「1ヵ月以内」とする人が約半数。数ヵ月不調が続いた人も

次に、「五月病になったことがある」と自覚する人に対し、「五月病からの回復に時間を要したか」と同社が尋ねた。すると、「とてもそう思う」(17.7%)と「ややそう思う」(43.2%)との回答が計60.9%となり、6割が「時間を要した」と回答した。

続けて同社が、「五月病から回復するまでに、どれくらいの時間を要したか」について尋ねた。すると、「1週間程度」が26.3%、「2~3週間」が22.1%と、「1ヵ月以内に回復した」とする人が48.4%で、約半数となった。他方で、「2ヵ月以上」の時間を要した人の合計は17.8%となった。中には「数ヵ月にわたって不調が続いた」とする人もいることから、五月病は“連休明けの軽微な不調”という概念以上に、深刻な影響を及ぼしている可能性があるようだ。
若手社員に多い「五月病」、20代の休職経験者は約4割に。求められる五月病対策も、企業の対策は進んでいないのが実態か

5月病が原因で「休職」に至った人が3割以上に。特に20代の若手社員に多い傾向か

また同社は、「五月病になったことがある」との回答者に、「五月病になったことが原因で、仕事を休んだことがあるか」を尋ねた。すると、「ある」(19.8%)と「一度だけある」(27%)との回答が計46.8%と、全体の4割以上が五月病により仕事を休んだ経験があると回答した。

続けて、五月病経験者に「五月病を原因とした休職の経験の有無」を尋ねると、「何度かある」(13.1%)と「一度だけある」(18.3%)が計31.4%となった。3割以上が「五月病による休職」を経験していることが明らかとなった。

また、同質問の回答を年代別に分類したところ、「20代」では、「五月病で仕事を休んだことがある」人が計54.3%、「休職したことがある」人が計39.5%だった。同社によると、20代の「休職経験者」は、他の年代よりも10ポイントほど高かったという。このことを受けて同社は、「環境変化が大きく、プレッシャーを感じやすい若手社員は、五月病の影響をより重く受けやすいのではないか」との見解を示している。
若手社員に多い「五月病」、20代の休職経験者は約4割に。求められる五月病対策も、企業の対策は進んでいないのが実態か

五月病への対策をとる企業は2割程度も、対策の必要性を感じる人は6割以上に

次に同社は、「勤務先では従業員の五月病への対策を実施しているか」と尋ねた。すると、「実施している」は22.1%と、何らかの対策を認識している人は2割にとどまった。対して、「実施していない」(59.1%)、「わからない」(18.8%)との回答は計77.9%と、職場の対策を認識できていない人は8割に迫った。

また同社は、「会社で五月病対策を実施するべきか」についても尋ねた。すると、「とてもそう思う」(17.7%)と「ややそう思う」(47.1%)の回答は計64.8%となり、6割以上が会社に対し何らかの対策を取るべきと考えていることがわかった。
若手社員に多い「五月病」、20代の休職経験者は約4割に。求められる五月病対策も、企業の対策は進んでいないのが実態か

五月病経験者は「相談相手がいない」との悩みも、周囲は「様子を見る」人が半数以上に

最後に同社は、五月病の経験者に「五月病で辛かったこと」を尋ねた。すると、トップは「治し方がわからない」で43.5%だった。2位は「相談できる人がいない」で35.5%、3位は「仕事で迷惑をかける」で32.2%だった。

同社はさらに、「周囲の人が五月病になったときに、どのように感じたか」を尋ねた。すると、最も多かったのは「心配だが、とりあえず様子を見ようと思った」の56.3%で、半数以上が「様子を見る」と回答した。自由回答では、「どう対処したらよいのか分からない」や、「声かけをしすぎても本人が悩むかもしれないから」といった主旨のコメントが寄せられたという。五月病経験者からは「相談できる人」を求める声が多いものの、周囲の人は率先して手を差し伸べにくい状況にあるようだ。
若手社員に多い「五月病」、20代の休職経験者は約4割に。求められる五月病対策も、企業の対策は進んでいないのが実態か
調査結果から、半数以上が五月病を経験している実態が明らかとなった。五月病が原因で休職に至った人も3割以上であったことから、五月病は決して軽視できるものではないと言える。職場に対しては、何かしらの対策を求める声が多いものの、実際に対策を講じている企業は少ないのが現状のようだ。健康経営に対する関心が高まっている中、企業においては、メンタルヘルスケアの一環として五月病への対策を進める必要がありそうだ。