MIXIが「働き方」・「休み方」に関する制度を拡充。従業員のライフステージに応じ柔軟で多様な働き方の推進へ

株式会社MIXIは2023年3月16日、従業員の多様なライフステージに対応した働き方の推進を目的に、働き方・休み方に関する制度を2023年4月より拡充すると発表した。5年後にライフイベントが重なる30代後半~40代前半の従業員が最も大きな割合を占めることを想定し、多様な働き方を検討しているという。同社は今後も、より柔軟な働き方を可能とする制度設計を行っていく方針だ。

2019年より進めてきた「働き方」に関する制度を拡充

MIXIでは、自社で運営するスマホゲームやスポーツ領域への進出などといった、事業の成長および拡大に伴い、この10年間で従業員が3倍近く増加したという。さらに、従業員の平均年齢についても31.3歳(2012年3月末時点)から35.6歳(2022年3月末時点)へと、約4歳上昇したという。このことから同社は、5年後の2028年には、従業員のライフイベントが重なる30代後半~40代前半の従業員が占める割合が最も大きくなると想定し、柔軟な働き方を可能とする制度設計を進めてきた。

これまでも、多様なライフステージに対応した働き方を検討し、2019年頃から働き?に関する制度の見直しを進めてきたが、今般、先述の課題を見据えて働き方・休み方に関する制度を2023年4月より拡充することを決めた。

従業員が自由に働く場所を選択できる「マーブルロケーション」を新設

同社は、オフィスワークとリモートワークを融合した働き方の制度「マーブルワークスタイル」の試験運用を2020年より実施してきた。2020年4月には、条件を満たせば日本全国での居住を可能にするなど、一部をアップデートし正式導入している。2023年4月からは、「働き方」に関する制度をより充実させるべく、本制度をさらに拡充するという。具体的には、従業員が事前に申請することでオフィスや自宅以外の選択した場所において、最長1ヵ月間就業できる「マーブルロケーション」を新設する。これまでは、働く場所を「自宅」または「オフィス」に限定してきたが、新設する「マーブルロケーション」では、実家やホテル、コワーキングスペースなど従業員が自由に働く場所を選択できる。同社は本制度の導入にあたり、2022年7月~10月に試験導入を実施した。その結果、一定数の効果と需要が確認でき、大きな問題も発生しない見込みが立ったことで、今回の正式導入を決めたという。

加えて同社は、現在運用中の「フレックスタイム制度」についても、新たな試みを実施する。2023年4月からはコアタイムを撤廃し、「フルフレックス」を試験的に導入。試験運用期間中や終了後には、従業員アンケートを実施するなどして効果検証を進め、正式な制度化に向け検討を進める予定とのことだ。なお、対象は正社員と契約社員、エキスパート社員(フレックス制が適用される社員に限る)となっている。

同社は「働き方」に関する一連の制度拡充で、従業員一人ひとりのライフスタイルに応じ、柔軟かつ組織成果が上がる働き方の実現を目指す考えだ。

自身と家族の体調不良時に利用できる「ケア休暇」も新設

「休み方」に関連する制度では、従業員が仕事だけでなく自身や家族も大切にできる環境整備のため、自身や家族の体調不良時に利用できる「ケア休暇」を新設する。本制度では、年度ごとに従業員1人あたり12日間の休暇を付与し、自身の風邪や生理痛、子どもや親の看護が必要な時に有給休暇とは別に取得できるという。

さらに、運用中の休暇制度も改定する。同社は、従業員のライフステージの変化や予期せぬライフイベントの発生に備えて、失効した有給休暇を積み立て、予め定められた用途に利用できる「リザーブ休暇」制度を2021年4月から運用してきた。今般、本制度の利用範囲や取得事由を拡大し、より柔軟な取得を可能とする。

これまでは、リザーブ休暇を“看護休暇”や“介護休暇”として利用する際、看護や介護の対象者が未就学児や要介護要件のある家族に限定されていた。これに関して、同年4月以降は制限を撤廃し、家族の看護・介護に利用できる「ファミリーケア」に改定。さらに、リザーブ休暇の取得事由に「妊活」を新たに追加するという。同社は、「必要に応じて柔軟に休暇を取得でき、復帰してから成果を出しやすい環境を今まで以上に整えていきたい」との考えから、休暇制度の新設・改定を行ったとのことだ。なお、対象は正社員と契約社員、エキスパート社員、アルバイト社員となっている。

定年年齢を「60歳」から「65歳」に引き上げへ

さらに同社は、働き方・休み方の制度拡充にあわせ、2023年4月より定年制度も改定する。これまで正社員の定年年齢を「60歳」としてきたが、同年4月以降は「65歳」に引き上げる。同時に、定年後の再雇用期間についても「最長65歳」までとしてきたものを「70歳」へと引き上げる。同社は本改定を通し、年代を問わず役割に応じたパフォーマンスや成果が発揮できるような環境づくりを行っていきたいとしている。

企業におけるイノベーション創出や、生産性の向上に向けては、多様な個人が意欲的に働ける環境が不可欠だと言われている。本取り組みは、多様な働き方を可能とする制度や休暇制度の拡充、さらには定年年齢の引き上げなど、多方面にわたる施策となっており、従業員エンゲージメントの向上が期待できるだろう。今後、人事施策などの見直しを進めたい企業は、こうした先行事例を参考にしてみてはいかがだろうか。