パナソニックインダストリーと日本IBMが「DX」における共創パートナーシップを締結。業務最適化・DX人材育成による生産性向上へ

パナソニックインダストリー株式会社は2023年2月21日、日本アイ・ビー・エム株式会社と「デジタル変革共創パートナーシップ」を締結したことを発表した。同社は、本パートナーシップの締結により、同社の“2030年にありたい姿”を定めたビジョンおよび経営目標の達成をより確実なものとしていきたいとしている。

DX人材育成や全社共通データベースの構築で、売上・営業利益率の向上を目指す

パナソニックインダストリー株式会社は、パナソニックグループの事業会社化(持株会社化)に伴い、2022年4月に創業した企業だ。また、同社は創業時に、2030年にありたい姿として「未来の兆しを先取り、お客様と共に社会変革をリードする」とのビジョンを掲げ、創業から現在に至るまでビジョン実現に向けた取り組みを推進しているという。

今回同社は、ビジョン達成に向けた主要戦略である「デジタル経営改革(DX)」を全社活動で開始するとともに、その実行をより加速させていたくため、日本アイ・ビー・エム(以下、日本IBM)と「デジタル変革共創パートナーシップ」を締結した。これにより、同社は以下の施策を進めていくという。

1.DXによる業務最適化で2030年度に30%生産性向上
事業部門や地域により違いが生じていた業務ルールやプロセスを、DXによりゼロベースで見直す。全社共有の業務ルール、プロセスを最適化し、省力化・効率化を図る。PSI(製造・販売・在庫)の集中管理による販売計画、精算計画の精度向上や在庫の適正化、調達、物流の最適化をITシステムの統一により標準化するなどし、2030年度において2021年度比30%の生産性向上を実現する。

2.グローバル全従業員の挑戦を支援
2022年4月1日現在で約44,000人いるグローバル全従業員の、DXリテラシー向上のための社内研修制度の整備を進める。希望者全員が各自の業務に応じ、必要なレベルのDXリテラシーを習得することを可能にすることで、DX人材化を推進し、DXによる変革の効果の最大化を目指す。また、変革を永続化するため、全社の取り組みをリードできる「高度DX人材」を育成する。

3.全社共通データベースやSCM最適化による効率化の追求と新たな顧客価値の創造
現在の事業部門や地域などで個別運用しているデータベースに替え、全社共通のデータベースを構築する。このことで、スムーズな情報共有や、地域・部門・階層を問わず最適な判断を最短の時間で行うことを可能とする。また、事業再編などで複雑化していたSCM(サプライチェーンマネジメント)を抜本的に刷新し、SCM最適化を進める。さらに、市場を先読みした商品開発や、顧客が直接ウェブサイトで必要な情報を確認・発注することで、最短納期で入手可能とし、新たな顧客価値を創造する。


同社は、本取り組みを通じ、経営目標として掲げる「2030年度に売上1.8兆円、営業利益15%以上」の達成を確実なものとしていきたいとしている。
企業のDX化をどのように進めたらよいのか迷っている企業も多いだろう。本取り組みのように他社とパートナーシップを結び、DXによる業務最適化や全社的なDX人材育成を図ることは一つの有効策と言えそうだ。今後、自社のDX化推進に向けた施策等を検討中の企業は、こうした先行事例を参考にしてみてはいかがだろうか。