“ブラック企業からの転職”で労働環境の改善を実感した人が7割。仕事観の多様化で求める労働環境も変化か

株式会社ライボは2023年1月16日、「2023年働く環境の実態調査」の結果を発表した。調査期間は2022年12月28日~2023年1月4日で、全国の20代~50代の社会人男女(勤務年数1年以内~10年以上)682名から回答を得た。調査から、ブラック企業やホワイト企業の勤務経験および転職経験の有無のほか、ブラックな環境や“ゆるすぎる”環境に対する意識などが明らかとなった。

半数以上が「ブラック企業での勤務経験がある」と回答

多様な働き方に関する施策が多くの企業で推進されている今、“ブラック企業”と言われる劣悪な労働環境の企業は減少傾向にあるという。一方で、スタートアップの増加など企業の多様化も進む中で、従業員が“ゆるすぎる”と感じるホワイト企業が増加しているともいわれている。また、そのゆるさが原因となり離職に繋がるケースもみられるというが、そもそも、ブラックな事象や“ゆるすぎる”環境は、実際に離職率と因果関係があるのだろうか。ライボがまず、「ブラックだと感じる企業に勤めた経験」を尋ねると、「ある」が52.8%、「ない」が47.2%だった。

また、ブラック企業に勤めた経験が「ある」とした人に、「ブラックと感じた内容」を尋ねると、「長時間労働」が68.9%で最多だった。以下、「ハラスメントがある」が48.3%、「根性論が飛び交っている」が43.3%と続いた。

さらに同社が、「ブラックだと感じる具体的な内容」を自由回答で尋ねると、「有給休暇を取得することが『悪』という雰囲気があり、誰も取得しない」や、「日常的にハラスメント的言動があるが、相談できる環境がないため耐えるしかない」といった声が寄せられたという。
“ブラック企業からの転職”で労働環境の改善を実感した人が7割。仕事観の多様化で求める労働環境も変化か

約7割が「ブラック企業からの転職後に労働環境の希望が叶った」と回答

次に同社は「ブラックな事象で転職した経験」の有無を尋ねた。すると、「ある」が47.8%、「ない」が52.2%だった。また、「その時の転職で働く環境の希望は叶ったか」と同社が尋ねると、「叶った」(27.9%)と、「どちらかといえば叶った」(41.9%)との回答は計69.8%で、転職により希望が叶ったとする人は約7割となった。
“ブラック企業からの転職”で労働環境の改善を実感した人が7割。仕事観の多様化で求める労働環境も変化か

“ゆるすぎるホワイト企業”から転職した人は50代が最多に

続いて同社は、「ゆるすぎる企業に勤めた経験」を尋ねた。すると、「ある」が34.2%、「ない」が65.8%という結果だった。

また、ゆるすぎる企業に勤めた経験が「ある」とした人に、「ゆるすぎて転職をした経験」を尋ねると、「ある」が48.9%、「ない」が51.1%だった。続いて、転職経験が「ある」との回答者を年代別に分析すると、「50代」が100%で最多となった。以下、「40代」(66.7%)、「20代」(65.4%)、「30代」(37%)と続いた。

さらに同社が、「ゆるすぎと感じた具体的な内容」を自由回答で尋ねると、「サークル感覚で遅刻や欠勤が日常的にあり、それを叱る文化もなく仕事は楽すぎる」や、「会議は雑談をして終わることが多く、真剣な議題がなくダラダラと進む」といった声があがったという。
“ブラック企業からの転職”で労働環境の改善を実感した人が7割。仕事観の多様化で求める労働環境も変化か

ブラックを連想する職種は「営業職」、ホワイトは「事務・アシスタント」がトップに

最後に同社は、「ブラック・ホワイトを連想する職種」を尋ねた。すると、ブラックを連想する職種の1位は「営業職」(43.7%)だった。その他には、「販売・サービス職」(15.2%)、「技術職」(12.6%)が上位となった。

他方のホワイトを連想する職種の1位は「事務・アシスタント」(31.7%)だった。以下は、「公務員」(16.7%)、「企画・管理」(14.5%)が上位となった。

同社が「ブラックな環境やゆるすぎる環境への是非」に関してフリーコメントを求めると、「ブラックな環境に対する捉え方が世代別で違う気がする」や、「ブラックも良くないが、ゆるすぎても良くないので程よい厳しさが必要」、「業種や職種によって働く環境はある程度決まる気がするため、仕事で何を重視するかが重要」との意見が寄せられたという。
“ブラック企業からの転職”で労働環境の改善を実感した人が7割。仕事観の多様化で求める労働環境も変化か
本調査から、企業に求める労働環境については、「働く人の仕事に対する意識とマッチするか」が重要な要素となっていることがうかがえる。離職を防ぎ、人材を定着させていくには、長時間労働やハラスメントなどブラックな事象の是正もさることながら、従業員がエンゲージメントを高く保ちながら勤め続けられる環境の整備が重要と言えそうだ。