コロナ禍の働き方の変化が「ジョブローテーション」へ与える影響は? 在宅勤務が普及しても異動の実施数はコロナ禍前と変化なし

株式会社Works Human Intelligenceは2022年12月21日、「働き方の変化とジョブローテーションへの影響」に関する調査結果を発表した。調査期間は2022年8月10日~9月16日で、同社の統合人事システムを利用する法人39社から回答を得た。調査から、企業におけるジョブローテーションの実施割合のほか、多様化する働き方がジョブローテーションに与える影響の有無などが明らかとなった。

7割以上が「ジョブローテーション」を実施

新型コロナウイルス感染症の影響などにより、多様な働き方が推進されているが、企業におけるジョブローテーションの実施状況に影響はあるのだろうか。Works Human Intelligenceはまず、「ジョブローテーションの実施有無」を尋ねた。すると、「行っている」が76.9%、「行っていない」が12.8%、「かつて行っていたが、現在は廃止した」が10.3%という結果となった。
コロナ禍の働き方の変化が「ジョブローテーション」へ与える影響は? 在宅勤務が普及しても異動の実施数はコロナ禍前と変化なし

ジョブローテーションの実施理由は「幅広い業務経験や広い視野を養うため」が最多に

次に同社は、「ジョブローテーションを行う理由・目的」を複数回答で尋ねた。すると、「幅広く業務を経験することで、広い視野を養ってもらうため」が39社中30社の回答を集め、最多だった。以下、「適材適所を実現するため」が23社、「業務の属人化を防ぐため」が21社、「幹部候補育成のため」が20社と続いた。
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異動に対して「拒否権がある」企業は1割未満

続いて、「ジョブローテーションでの異動に対する、本人の拒否権の有無」について同社が尋ねると、「ある」は9.1%、「条件によってはある」が63.6%、「ない」が27.3%だった。

「条件によっては(拒否権が)ある」と回答した企業に、「拒否できる条件」を尋ねると、「家族・近親者の都合」や、「本人の体調、精神面の不調」との回答が上位にあがったという。やむを得ない理由で異動が拒否できる場合があるものの、本人の希望では異動を拒否できないとする企業が多いようだ。
コロナ禍の働き方の変化が「ジョブローテーション」へ与える影響は? 在宅勤務が普及しても異動の実施数はコロナ禍前と変化なし

1割以上が今後転勤を「減らしていく」と回答

また、同社が「ジョブローテーションによって転勤が発生するか」を尋ねると、「転勤が発生することもある」との回答が8割を占めたという。

さらに、「転勤が発生することもある」とした人に対し、「転勤についての今後の意向」を尋ねると、「現状維持」との回答が50%で半数を占めた。他方で「減らしていく」との回答も16.7%あり、一部企業において転勤を見直す動きが見られた。
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新型コロナ前と比べ「ジョブローテーションの数」は変化なし

最後に同社は、「新型コロナの感染拡大前と現在とで、ジョブローテーションの数(転勤有無問わず)に変化があったか」を尋ねた。すると、「変わらない」との回答が83.3%で最多だった。一方で、「減った」と「増えた」はともに3.3%とわずかだった。新型コロナの影響で在宅勤務が普及し、働き方が多様化しているものの、ジョブローテーション実施への影響は少ないことがうかがえる。
コロナ禍の働き方の変化が「ジョブローテーション」へ与える影響は? 在宅勤務が普及しても異動の実施数はコロナ禍前と変化なし
本調査から、7割以上の企業がジョブローテーションを実施しており、コロナ禍による影響は少ないことがわかった。また、転勤については「現状を維持する」との企業が8割となるものの、一部の企業で転勤を見直す動きも出ているようだ。ジョブローテーションの実施を検討する場合は、その目的や意味を明確にした上で、従業員のキャリア形成につながるような方法を探っていきたい。