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【社長の年金】第16回:年金に「配偶者の割り増し」が付かない? 経営者が見落としていることとは(前編)

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【ケース2】厚生年金の加入期間が短い場合

民間企業で10年間勤務した後に退職し、起業したケースを考えてみよう。独立後は個人事業者として活動していたが、年金をもらい始める前年には念願の法人化を果たし、自身は代表取締役に就任したとする。厚生年金には、会社員時代の10年間および個人事業の法人化後に加入している。

前述のケース1と異なり、今回は厚生年金に加入していた期間があるため、「老齢厚生年金」をもらえる。しかし、この場合でも扶養する配偶者がいることによる割り増しは付かない。理由は、厚生年金の加入期間が、配偶者の割り増しを受けるには不十分だからだ。

老齢厚生年金に配偶者の割り増しが付くためには、原則として厚生年金に20年以上加入した実績が必要とされている。つまり、働いた期間の半分程度は厚生年金に加入していなければ、割り増し分が上乗せされることはないのだ。

【ケース3】夫婦ともに厚生年金に長く加入した場合

最後に、配偶者の厚生年金加入実績が影響するケースを紹介する。

夫は父親が創業した会社に入社後、事業を承継して代表取締役を務めており、厚生年金には40年加入した実績がある。一方、妻は夫の会社の経理担当を長く務めてきた。子供に手が掛かる時期以外は仕事を継続していたため、厚生年金の加入実績は25年ある。どちらも、老後の年金を受け取る年齢を迎えたとしよう。

この場合、夫は厚生年金に40年も加入したのだから、当然、配偶者の割り増しが付いた老齢厚生年金を受け取れそうだが、この経営者が受け取る老齢厚生年金にも、割り増し分が上乗せされることはない。それは、妻が「厚生年金に20年以上加入した実績に基づく年金」を受け取れるからだ。

厚生年金には、割り増しの対象となる配偶者自身に「厚生年金に20年以上加入した実績に基づく年金」を受け取る権利がある場合、加給年金額の支給はしないというルールが存在する。「配偶者が自分名義の年金を十分に受け取れるのだから、割り増しは不要」とされるためである。


老後の年金に配偶者の割り増しが付かないケースはまだまだある。後編では、その他のケースについて解説しよう。



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プロフィール

コンサルティングハウス プライオ 代表 大須賀 信敬(監修者)

コンサルティングハウス プライオ 代表 大須賀 信敬(監修者)

組織人事コンサルタント/中小企業診断士・特定社会保険労務士
中小企業の経営支援団体にて各種マネジメント業務に従事した後、組織運営及び人的資源管理のコンサルティングを行う中小企業診断士・社会保険労務士事務所「コンサルティングハウス プライオ」を設立。『気持ちよく働ける活性化された組織づくり』(Create the Activated Organization)に貢献することを事業理念とし、組織人事コンサルタントとして大手企業から小規模企業までさまざまな企業・組織の「ヒトにかかわる経営課題解決」に取り組んでいる。一般社団法人東京都中小企業診断士協会及び千葉県社会保険労務士会会員。
コンサルティングハウス プライオ

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