デジタルシフトに「未着手」とする企業が6割を超える。業界別の取り組み方の差や、取り組みにおける“障壁”とは

株式会社デジタルホールディングスは2022年12月5日、「業界別・デジタルシフト実態調査」の結果を発表した。調査期間は2022年10月11日~12日で、20歳以上のビジネスパーソン650名(13業種、各50名)から回答を得た。調査から、企業におけるデジタルシフトの進捗状況や、デジタルシフトが進んでいる業界・業種の傾向などが明らかとなった。

6割以上が「デジタルシフトに未着手」と回答

デジタル化に向け、社会の機運が高まっているが、企業におけるデジタルシフトの実態はどうなのだろうか。デジタルホールディングスはまず、同社の運営するメディアを通じて、「勤務先のデジタル化への取り組み状況」を尋ねた。すると、「着手中」が37.4%、「現状取り組んでいないが、取り組む予定」が17.2%、「未着手」が62.6%だった。「未着手」の企業が6割を超えた。
デジタルシフトに「未着手」とする企業が6割を超える。業界別の取り組み方の差や、取り組みにおける“障壁”とは

デジタルシフトが進む業界は「行政」や「情報通信」

先の回答をもとに、同社が業種別に「デジタル化の取り組み状況」を分析すると、デジタルシフトに「取り組んでいる」割合が最も多かったのは「行政」の72%だった。以下、「情報通信(広告含)」が62%、「エネルギー・インフラ」が50%と続いた。対して、「現状取り組んでおらず、予定もない」という回答が目立ったのは、「農業・林業・漁業・鉱業」(74%)、「不動産(賃貸含)」(66%)、「医療・福祉(医薬品含)」(58%)だった。
デジタルシフトに「未着手」とする企業が6割を超える。業界別の取り組み方の差や、取り組みにおける“障壁”とは

「予算」・「人材」・「業界、業務横断のハードル」がデジタルシフトの課題にあがる

次に、同社は「勤務先でデジタル化に取り組む際、どのような課題があるか」を尋ねた。すると上位には「十分な予算が確保できない」(23.1%)、「適切な人材がいない」(19.4%)、「業界的にハードルが高い」、「業務を横断するハードルが高い」(ともに9.2%)があがった。また、「業界的にハードルが高い」とする回答について、「その理由」をフリーコメントで尋ねると、以下のような声が寄せられたという。

・対面以外の方法を知らないから(農業・林業・漁業・鉱業)
・横並び意識が強い業界なので、他の動向を見てという感じ(行政)
・業界としてあまり前向きではない(不動産)
・諸所の事情が細分化されすぎていて、統一した対応を取りづらい(小売)
・業界全体が紙ベースでの取引がほとんどであり、取引先との関係を考えると自身の努力だけではどうにもならない(物流)

一方で、52.2%が「特に課題はない/なかった」と回答したこともわかった。同社によると、デジタルシフトが進んでいない傾向にある「不動産」、「小売」といった業界では、「特に課題はない」とする回答の割合が高かったという。
デジタルシフトに「未着手」とする企業が6割を超える。業界別の取り組み方の差や、取り組みにおける“障壁”とは

デジタルシフトが進んでいるのは「バックオフィス業務」

続いて、同社は「勤務先でデジタル化に取り組んでいるものは何か」と尋ねた。すると、「支払い・請求などの出納業務関連」が47.7%で最多となった。以下、「経費精算・決済代行関連」と「給与管理関連」がともに42%、「顧客管理・対応」が41.6%、「財務(予算管理・会計など)」が40.7%と続いた。
デジタルシフトに「未着手」とする企業が6割を超える。業界別の取り組み方の差や、取り組みにおける“障壁”とは
デジタル化推進の機運が高まっているものの、デジタルシフトに着手済みの企業は4割以下であることが明らかとなった。業界によってはハードルを抱え、思うようにデジタルシフトに取り組めない状況があるようだ。一方で、バックオフィス業務でデジタルシフトが進んでいる傾向にあり、内容によって着手のしやすさに差があることがうかがえる。自社でのデジタル化を進めたい企業は、取り組みやすい業務から徐々に取り組んでみてはいかがだろうか。