“社員が企画できる”ワーケーション制度を導入。実証実験では「エンゲージメント向上」や「生産性向上」の効果も

株式会社NTTデータ経営研究所は2022年11月18日、社員が自由な発想で企画・応募できる、新たなワーケーション制度である「ON/OFFiceTM」を導入したと発表した。制度導入に先立ち、同社はワーケーションが心身にもたらす効果・効用に関する検証を実施している。その結果、生産性の向上やワークエンゲージメントにおけるポジティブな効果を得たという。このことを受け、同社は今後、さらにワーケーション制度を拡充し、社員の心身の健康および働きがいの醸成に努めていくとしている。

社員が自由にワーケーションを企画・参加できる制度設計に

NTTデータ経営研究所はこれまで、新型コロナウイルス感染症拡大を契機に在宅勤務を優先する働き方に移行させてきた。現在では自宅に限らず、サテライトオフィスなどを含めたリモートワークが全社員に定着しているという。一方で、同社が2021年に実施した社員満足度調査では、新型コロナ流行前(2019年)との比較で、「知の交流」、「ビジョンの共有」といった項目で満足度低下が確認され、社員間のコミュニケーション不足が課題となっていたという。こうした状況を受け同社は、社員のリモートワークと心身の健康の両立および業務への好影響を獲得することを目的に、新たなワーケーション制度「ON/OFFiceTM」を導入した。

「ON/OFFiceTM」は、会社が滞在場所やワーケーションの形態を指定せず、社員が自ら参加したいワーケーションを自由に企画・応募できることを特徴とした制度だ。形態を指定しないのは、より多くの社員に制度を利用してほしいという考えに加え、滞在場所の選定や交渉、企画を組み立てる過程を通じ、社員の企画力を醸成したいという同社の狙いがあるという。制度の概要は下記の通り。

【「ON/OFFiceTM」の概要】
●概要
会社が滞在場所やワーケーション形態を指定せず、社員がワーケーションの発想および企画をし、応募できる。企画の目的に対し企画内容の合致度を審査の上、認められた企画を実施する

●参加人数
所属組織や職種を問わず、4人以上の社員が集まれば誰でも参加可能

●ワーケーション期間
最大1週間

●費用負担
企画内容の審査で認められた企画には、宿泊費・交通費の実費を会社側が補助

制度導入にあたり、ワーケーション企画の効果実証に計43名が参加

同社は、社内にて本施策の導入発表後、2022年5月から11月にかけて効果実証を実施した。実証では、地域関係者と交流しながら地域課題を把握し、課題解決を考える「地域課題型ワーケーション」、参加メンバーとワークショップや議論を行う「合宿型ワーケーション」、リゾート地に滞在し、観光や共通の趣味を楽しみながらリモートワークを行う「休暇型ワーケーション」の中で8グループに分かれ、計43名の社員が参加したという。

ワーケーションにより「パフォーマンス」や「組織コミットメント」向上の実証結果も

効果実証では、「ワーケーション開始1週間前」、「ワーケーション期間中」、「終了日の1週間後」に調査票への回答を求め、そのデータ解析を行っている。その結果、ワーケーション期間中は、仕事のパフォーマンスが20%程度向上したことや、ワーケーション終了後も向上した水準が維持されていることが明らかとなったという。
“社員が企画できる”ワーケーション制度を導入。実証実験では「エンゲージメント向上」や「生産性向上」の効果も
さらに、「ワークエンゲージメント」、「組織コミットメント」の値にもそれぞれ上昇傾向が認められた。このことで、ワーケーションを企画・実施した会社に対する帰属意識促進にも効果がみられたと同社は分析している。
“社員が企画できる”ワーケーション制度を導入。実証実験では「エンゲージメント向上」や「生産性向上」の効果も
この結果を踏まえ同社は、今後も「ON/OFFiceTM」をはじめとするワーケーション制度をさらに拡充することで、社員が働き方・休み方を柔軟に選択し、活力を持って仕事ができる環境を整えていく方針だ。