「産後パパ育休」施行で“職場復帰への不安”軽減に期待感。「男性育休」に関する個人・企業間の意識差とは

パーソルキャリア株式会社は2022年9月12日、「男性育休」をテーマとした「ビジネスパーソンと企業の転職意識のギャップ」に関する調査結果を発表した。調査は働く個人と企業それぞれに実施され、調査期間はいずれも2022年8月15日~18日。個人向け調査では、転職を検討中もしくは転職に興味があり、将来子どもを持ちたいと考えている20~30代の男性社員200名から、企業向け調査では、全国の20~60代の中途採用・人事担当者200名から回答を得た。調査から、「男性育休」の取得への個人・企業の意識や、転職において重視する制度などが明らかとなった。

「男性育休」を記載する求人件数は前年比で7倍以上に

「産後パパ育休(出生時育児休業)」が2022年10月に施行されることに伴って、「男性育休」への関心が高まる中、企業と働く人の間に意識のギャップはあるのだろうか。パーソルキャリアはまず、同社の転職サービスに掲載される求人の中で、「男性育休」の記載がある求人件数を調査した。すると、2021年2月以降から伸長が続き、2022年7月時点では2020年7月とで約7.4倍となった。
「産後パパ育休」施行で“職場復帰への不安”軽減に期待感。「男性育休」に関する個人・企業間の意識差とは

“男性育休の取得のしやすさ”は個人・企業間で意識差が見られず

次に、「現行の育休制度」についての「取得のしやすさ」を個人・企業別に尋ねると、「取得しやすい」、「やや取得しやすい」の合計値は、個人・企業ともに57.5%と、意識の差は見られなかった。

一方で、個人に育休取得意向を尋ねると、90%が「取得したい」と回答し、「取得しやすさ」とは30ポイント以上の大きな開きが見られたという。
「産後パパ育休」施行で“職場復帰への不安”軽減に期待感。「男性育休」に関する個人・企業間の意識差とは

育休取得における不安、個人では「収入減少」、企業では「業務引継ぎ」がトップ

続いて、「育休取得にあたっての不安」を個人と企業それぞれに尋ねると、個人で最も多い回答は「収入減少」(49.5%)であり、以下、「業務引継ぎ」(43.5%)、「昇進への影響」(34%)と続いた。一方、企業が予測する「育休取得者本人の不安」は、「業務の引継ぎ」(43.5%)が最多で、以下、「収入減少」(41.5%)、「昇進への影響」および「人間関係の悪化」(ともに30%)となり、個人・企業の両者で異なる結果が得られた。
「産後パパ育休」施行で“職場復帰への不安”軽減に期待感。「男性育休」に関する個人・企業間の意識差とは

「育休分割取得制度」による「取得しやすさ」のアップは個人・企業の共通認識か

さらに同社は、10月に開始される「育休分割取得制度」導入による「取得のしやすさの変化」を尋ねた。すると、個人では、「取得しやすくなる」と「どちらかと言えば取得しやすくなる」の合計値が81.5%、企業では同合計値が81%と、個人・企業ともに8割以上が「取得しやすくなる」と回答したことがわかった。
「産後パパ育休」施行で“職場復帰への不安”軽減に期待感。「男性育休」に関する個人・企業間の意識差とは

「育休分割取得制度」で“ブランクへの不安軽減”の期待高まる

また同社は、「分割取得制度の開始で軽減されそうな不安」を尋ねた。すると、「収入減少」や「業務引継ぎ」だけでなく、「仕事の技術や能力が落ちること」(個人:34%、企業32.5%)や、「復帰時の受け入れ体制」(個人:29.5%、企業:27%)といった項目にも多くの回答が集まった。同社は、「育休の分割取得が育休後の職場復帰のしやすさに好影響を与えるのではないか」と予測している。
「産後パパ育休」施行で“職場復帰への不安”軽減に期待感。「男性育休」に関する個人・企業間の意識差とは

「育休制度」が転職先選定において重視するワークライフバランス制度の上位に

最後に、「転職先選定に際し重視するワークライフバランス制度」について尋ねたところ、個人では「リフレッシュ休暇制度」が最多の45%で、以下は「リモートワーク制度」が41.5%、「育休制度」が40%となった。一方、企業側における「転職者が重視すると考えている項目」では、「リモートワーク制度」が51.5%と最も多く、以下は「フレックス制度」が48.5%、「育休制度」が47.5%と、個人・企業ともに3位に「育休制度」が入った。
「産後パパ育休」施行で“職場復帰への不安”軽減に期待感。「男性育休」に関する個人・企業間の意識差とは
本調査では全体を通して個人・企業の回答に大きな差は見られず、企業側が個人のニーズや実態の把握を進めていることがうかがえる。一方で「収入減少」や「業務引継ぎ」に不安があるとの声もあることから、企業側は今後も「男性育休」の取得を働きかける施策や職場環境の整備を継続して行う必要があるといえるだろう。