「物価は上がっている」にもかかわらず、削られている年金額
先ほど、「物価・給料ともに低下しており、給料のほうがより大きく低下している。従って、『給料の変動具合』に合わせて年金額が調整される」と説明をした。ところで、「物価が低下している」という説明は、本当に正しいのだろうか。
現在、経営者の皆さんが日々の仕事や生活で「物価の低下」を実感することは、恐らくないであろう。それどころか、「今度は○○が値上がりした」という会話を耳にすることのほうが多いはずである。
総務省発表の「全国消費者物価指数」について、本稿執筆時点の最新データである2022年4月分の数値を見ると、前月の3月と比較して0.4%ほど物価が上昇していることが分かる。さらに、前年同月と比べると2.5%の上昇とのことである。つまり現在、物価は上昇基調なのである。
従って、今回の年金額の調整には、「物価は上昇中だが、年金は削られた」という側面があることになる。
現在、経営者の皆さんが日々の仕事や生活で「物価の低下」を実感することは、恐らくないであろう。それどころか、「今度は○○が値上がりした」という会話を耳にすることのほうが多いはずである。
総務省発表の「全国消費者物価指数」について、本稿執筆時点の最新データである2022年4月分の数値を見ると、前月の3月と比較して0.4%ほど物価が上昇していることが分かる。さらに、前年同月と比べると2.5%の上昇とのことである。つまり現在、物価は上昇基調なのである。
従って、今回の年金額の調整には、「物価は上昇中だが、年金は削られた」という側面があることになる。
なぜ物価上昇中でも年金額が下がるのか
現在、物価は上昇基調であるにもかかわらず、年金額は削減されている。なぜ、このような現象が起こるのだろうか。その理由は、年金額の調整に使用する物価変動率が「過去の数値」だからである。
2022年度の年金額を決定する際、判断材料の一つとして使用された物価変動率は「2021年の平均数値」だ。つまり、2021年1月から同年 12 月までの1年間における、さまざまなモノの値段の動きを日本全国で平均すると、「マイナス0.2%」になったというわけである。
実際、全国消費者物価指数の2021年後半の推移をみると、物価がゆっくりと上昇基調に転じていることが分かる。ところが、年間平均ではマイナス0.2%となるため、この数値が年金額調整の判断材料に使用されたのだ。
また、2022年度の年金額を決定する際、もう一つの判断材料となった名目手取り賃金変動率も、現時点の数値ではない。2018年度から2020年度までの、給料に関するデータなどを基に決定された数値だ。そのため、現時点の給料変動の実態とは一致しない面があってもおかしくない。
以上のような状況から、「物価は上昇中であるにもかかわらず、年金額は下がる」という、何とも理解しがたい状況が発生しているのである。
コロナ禍で苦しむ企業経営者が少なくない中では、「1円でも惜しい」というのが実感であろう。「年金額の減少」が経営者の方々の生活に悪影響を及ぼさないことを、切に願う次第である。
2022年度の年金額を決定する際、判断材料の一つとして使用された物価変動率は「2021年の平均数値」だ。つまり、2021年1月から同年 12 月までの1年間における、さまざまなモノの値段の動きを日本全国で平均すると、「マイナス0.2%」になったというわけである。
実際、全国消費者物価指数の2021年後半の推移をみると、物価がゆっくりと上昇基調に転じていることが分かる。ところが、年間平均ではマイナス0.2%となるため、この数値が年金額調整の判断材料に使用されたのだ。
また、2022年度の年金額を決定する際、もう一つの判断材料となった名目手取り賃金変動率も、現時点の数値ではない。2018年度から2020年度までの、給料に関するデータなどを基に決定された数値だ。そのため、現時点の給料変動の実態とは一致しない面があってもおかしくない。
以上のような状況から、「物価は上昇中であるにもかかわらず、年金額は下がる」という、何とも理解しがたい状況が発生しているのである。
コロナ禍で苦しむ企業経営者が少なくない中では、「1円でも惜しい」というのが実感であろう。「年金額の減少」が経営者の方々の生活に悪影響を及ぼさないことを、切に願う次第である。
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