業務中の“5分休憩”が生産性向上に効果か。60分のうち5分間を「戦略的休憩」に充てる新たな取組みとは

合同会社Endianは2022年4月18日、「会議時間と生産性」に関する調査の結果を発表した。調査期間は2022年3月16日~17日の2日間で、全国の20~59歳の会社員500名から回答を得ている。調査結果からは、「会議時間と生産性」に関して会社員が抱く思いや、業務中に短時間の休憩を意識的に取ることで得られる効果などが明らかとなった。同社は調査結果を踏まえ、従来の60分単位の業務スケジュールを55分に短縮し、5分間を“戦略的休憩”に充てる新たなワークスタイル「55(ゴーゴー)協定」を提唱している。

60分単位の会議を「短縮したい」と感じる人が7割以上に

「業務中のこまめな休憩」と「生産性」について、関連性はあるのだろうか。

はじめにEndianは、多くの企業で基本としている60分単位の会議や打ち合わせについて、「60分は最適な時間だと思うか」について尋ねている。すると、「もう少し短くて良いと思う」が39.2%、「もっと短くて良いと思う」が32.6%となり、合わせて71.8%が60分単位の会議・打ち合わせを「短縮しても良い」と考えていることが明らかになった。
業務中の“5分休憩”が生産性向上に効果か。60分のうち5分間を「戦略的休憩」に充てる新たな取組みとは

約7割が「打合せ時間の短縮」と「休憩の確保」を希望

続いて、同社は「打ち合わせ時間を短縮し休憩を確保する取り組みを、自社に導入してほしいか」を尋ねている。すると、「ややそう思う」が42.4%、「そう思う」が27.2%で、両者合わせて69.6%と、約7割に迫ることがわかった。

また、「55分働いて5分休憩を取る働き方」を基本のワークタイムとして導入する企業についての印象を尋ねたところ、75.2%が「好感を持てる」と回答している。この働き方を魅力的だと思う理由としては、「頭の切り替えによさそうだから」、「集中力が高まりそうだから」、「リラックスして働けそうだから」などといった理由が上位にあがったという。
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5分間の休憩が「知的生産性向上」に一定の効果か

また、同社は業務中に5分間の休憩を取ることが「知的生産性」にどのような影響を与えるかを確認すべく、脳の認知機能の調査実験を実施した。その結果、業務中に5分間の休憩を取ることで、知的生産性向上を示唆する結果が得られたという。

実験では、インスピレーションを必要とするクリエイティブな業務を行う場合において、「一旦問題から離れて放置している時間(インキュベーション期間)に、アイディアが広がる可能性がある」という先行研究に基づいて、5分間の休憩の有無によって認知機能の「流暢性」、「柔軟性」、「独自性」にどのような影響があるかを調べている。

インキュベーション期間において、脳が“目の前の課題のみに注意を向けている状態”から開放された状態を「マインドワンダリング」と呼ぶが、今回の実験の結果、「長時間継続して業務を行った場合」と比較して、「5分間の休憩を挟んだ場合」の方が、マインドワンダリング状態が促進される結果、および休憩後の知的生産性が向上したことがうかがえる結果が得られたという。
業務中の“5分休憩”が生産性向上に効果か。60分のうち5分間を「戦略的休憩」に充てる新たな取組みとは

5分間の戦略的休憩を取るワークスタイル「55協定」を提唱

Endianは今回、令和時代における新たなワークスタイルの浸透を目指し、同社と賛同企業で取り組む「55協定」を提唱した。協定に賛同した企業は、従来型の60分単位の業務スケジュールを55分に短縮し、5分間の休憩を取り入れた「戦略的に休憩する働き方」を実践するという。同社は、近年のテレワーク普及によって雑談や少しの休憩が失われつつあることを危惧した上で、「55協定」を通じてビジネスパーソンに5分間の休憩を勧め、より高いパフォーマンスを発揮できるよう応援する姿勢だ。
業務中の“5分休憩”が生産性向上に効果か。60分のうち5分間を「戦略的休憩」に充てる新たな取組みとは
一部の企業では、仮眠の時間を設けるなど、社員の「生産性向上」を目的に独自の取り組みを行う企業もある。新型コロナウイルス感染症拡大によるテレワーク普及などの要因から、休憩を意識しづらくなっている人も多いのではないだろうか。こうした取組みは、「新しい働き方」と「生産性の向上」に意識を向ける動機付けとなる、興味深い試みだと言えそうだ。