部長・課長層の3人に1人が「組織の不透明感」を感じている。ニューノーマルでマネジメントは複雑化したのか

株式会社レンズアソシエイツは2022年4月19日、「コロナ禍におけるミドルマネジメントの不安」に関する実態調査の結果を発表した。調査は2022年3月23日~30日に実施され、従業員数100名以上の企業の部長・課長クラスの計100名から回答を得た。調査結果から、新型コロナウイルス感染症拡大以降に「ミドルマネジメント層が自社組織に感じている不安」の実態が垣間見えた。

ミドルマネジメント層の約6割が「自社組織に関する不安が増加」と回答

部長や課長職の「ミドルマネジメント層」から見た“コロナ禍以降の自社組織”の状況はどのようになっているのだろうか。

まず、同社は「コロナ禍で、自社組織に関する不安が増加したか」を尋ねている。すると、「非常にそう思う」が14%、「ややそう思う」が41%となり、合計55%が「不安が増えた」と感じていた。
部長・課長層の3人に1人が「組織の不透明感」を感じている。ニューノーマルでマネジメントは複雑化したのか

不安増加の理由は「メンバーとのコミュニケーションの減少」が最多に

前質問で「非常にそう思う」、「ややそう思う」と回答した人に「その理由」を尋ねたところ、トップは「メンバーとのコミュニケーションの減少」で54.5%となり、過半数を占めた。また、「業績が不安定になった」(45.5%)、「業務負荷が増えた」(41.8%)、「人間関係が希薄になった」(40%)などが上位回答となった。
部長・課長層の3人に1人が「組織の不透明感」を感じている。ニューノーマルでマネジメントは複雑化したのか

3割強は「会社が目指す方向性が不透明になった」と感じている

さらに、「コロナ禍で会社の目指す方向性が『不透明になった』と感じているか」を同社が尋ねると、「非常にそう思う」が4%、「ややそう思う」が28%と、計32%が「不透明になった」と答えた。一方で、「あまりそう思わない」が43%、「全くそう思わない」が23%で、これらを合わせると計66%となり、全体の7割弱は「特に不透明感を感じていない」ことがわかった。
部長・課長層の3人に1人が「組織の不透明感」を感じている。ニューノーマルでマネジメントは複雑化したのか

会社の目指す方向性が「不透明になった」と感じる理由とは

「コロナ禍で会社の目指す方向性が不透明になった」と回答した人に、「そう感じる具体的な場面」を尋ねた。回答が多かった順に、「会社全体の一体感を感じにくい」が65.6%、「経営者の考えがわからない」が46.9%、「同僚・部下の考えがわからない」が37.5%という結果となった。
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ミドルマネジメントは「パフォーマンスやエンゲージメントの低下」を危惧

最後に、「会社の目指す方向性が不透明になったことで、自身や同僚にどのような影響があったか」を尋ねている。すると「パフォーマンスが発揮しづらくなった」、「エンゲージメントが低下した」、「意思決定しづらくなった」、「イエスマンが増えた」、「離職率が高まった」の5項目が、共に34.4%という結果だった。
部長・課長層の3人に1人が「組織の不透明感」を感じている。ニューノーマルでマネジメントは複雑化したのか
ミドルマネジメント層は、部下をまとめる立場にあり、円滑なコミュニケーションを通じて組織の生産性を高める役割を担う。しかし、テレワークの広がりなど、対面とは異なるコミュニケーションが要因となり、マネジメントに難しさを感じていることがうかがえた。経営方針や事業戦略を組織に浸透させるためにも、ミドルマネジメント層がパフォーマンスを発揮できるよう、自社での課題を探る必要がありそうだ。