「改正育児・介護休業法」の施行にともなう“未来のパパ”の育休への意識と実態は。「取得意向」と「実際の取得率」に格差も

ピジョン株式会社 (以下、ピジョン)は2022年3月9日、「育休取得への意識・実態」を調査した結果を発表した。調査期間は2022年1月21日~26日で、全国の25~39歳の既婚男性7,345名から回答を得た。これにより、男性の育休取得に対する意向や実際の取得率、取得率向上に向けた課題などが浮き彫りとなった。なお、本調査の設問内における「育休」及び「育休制度」とは、国で定めた法律による「育児休業」と、各企業が休暇制度のひとつとして任意で制定している制度「育児休暇」の両方を指す。

“未来のパパ”の6割以上が「育休を取得したい」と回答

2022年4月以降、男性の育休取得促進を目的の1つとする「改正育児・介護休業法」が段階的に施行されるが、働くパパや男性の「育休取得」に対する意識や、実際の取得率は変化しているのだろうか。

まずピジョンは、将来子を持つことを見込んでいる「プレプレパパ」と、パートナーが第1子を妊娠中である「プレパパ」の男性に対し、「育休を取得したいかどうか」を尋ねている。すると、「プレプレパパ」の68.4%、「プレパパ」の64.9%が、「取得したい」と回答している。
「改正育児・介護休業法」の施行にともなう“未来のパパ”の育休への意識と実態は。「取得意向」と「実際の取得率」に格差も

高い「育休取得意向」に対し、実際の取得率は約5割 に

一方で、子を1人以上持つ男性に対する「出産や育児のために育休や有給を取得したか」という質問に対しては、「育休と有給のどちらも取得していない」が50.4%と半数にのぼった。

さらに「育休制度の利用」に限定すると、「取得した」と回答した男性は全体の26.4%にとどまった。育休を取得して、積極的に育児に関わりたいという男性の意向と、実際の育休取得率に大きな乖離が見られ、男性が「育休を取得したくてもできない」という現実が明らかになった。
「改正育児・介護休業法」の施行にともなう“未来のパパ”の育休への意識と実態は。「取得意向」と「実際の取得率」に格差も

“未来のパパ”の約半数が「1ヵ月以上の育休取得」を希望も、実際の取得期間は「1週間以下」が多数

同調査では「プレプレパパ」および「プレパパ」に、「どの程度の期間、育休を取得しようと思うか」を尋ねている。この質問に対して「1ヵ月以上」の取得期間を希望した男性は、「プレプレパパ」が44.6%、「プレパパ」が44.1%だった。

しかし、現在子を持つ父親に対して「実際の育休の取得期間」を聞くと、「1ヵ月以上の育休を取得できた」という男性は15.2%にとどまり、「1週間以下」が合わせて76.4%にのぼった。「プレプレパパ」および「プレパパ」の理想に対し、実際にはごく短期間でしか取得していない実態が浮彫りとなった。
「改正育児・介護休業法」の施行にともなう“未来のパパ”の育休への意識と実態は。「取得意向」と「実際の取得率」に格差も

約5割の男性が育休取得中の「所得減少」を不安視

また、育休取得を望まない男性に「育休を取得したくない理由」を尋ねた質問では、46.8%が「所得が減ることに不安がある」と回答し、取得したくない理由の1位となっている。以下、「今後のキャリアへの影響」が24.2%、「職場へ迷惑をかけそう」および「育休を取得しづらい雰囲気がある」が共に22.6%となった。この結果により、男性の育休取得に対して、企業側の制度設計や体制づくりが充分に進んでいない現状があることがうかがえる。
「改正育児・介護休業法」の施行にともなう“未来のパパ”の育休への意識と実態は。「取得意向」と「実際の取得率」に格差も

男性の育休取得は「妻やパートナーからの働きかけ」も後押しに

同調査では、育休取得意向のある“未来のパパ”と、育休取得経験のある男性に対し、「育休を取得した(したい)理由」についても質問している。すると、子の有無にかかわらず、「妻・パートナーの体調や精神的負担が心配」や、「自分の子の成長がみたい」、「夫婦で一緒に子育てしたい」といった回答が上位にあがっている。

一方で、実際に育休を取得した男性に多かった回答のひとつに「妻・パートナーに頼まれた」(11.9%)がある。この結果により、企業側の「制度整備」や「育休を取得しやすい雰囲気づくり」以外に、「妻やパートナーからの働きかけ」が後押しとなっていることがうかがえる。
「改正育児・介護休業法」の施行にともなう“未来のパパ”の育休への意識と実態は。「取得意向」と「実際の取得率」に格差も

男性の育休取得推進は「企業側の前向きな姿勢」がカギか

また、「育休を取得したくなる理由」についての回答では、1位が「給料が減らなければ」の47.6%で、以下、「勤務先からの強い後押しがあれば」が43.4%、「休んでいる間の勤務先の体制が整っていれば」が30.6%となっている。これにより、男性の育休取得にあたって望まれることは、「安心して育休を取得できる職場の土壌づくり」であると言えるだろう。
「改正育児・介護休業法」の施行にともなう“未来のパパ”の育休への意識と実態は。「取得意向」と「実際の取得率」に格差も
2022年4月から段階的に施行される「育児・介護休業法」の改正に伴い、男性の育児参加への関心は高まっている。しかし、「積極的に育休を取得し、育児に取り組みたい」という男性の増加に対し、国や企業の法整備・制度整備に課題があるのが現状だ。気がかりである「所得減」を補うなど、今後も男女を問わず安心して育休を取得できるような環境整備が待たれるだろう。