日揮HD、アジア太平洋地域での経営体制強化を発表。成長市場での地産地消型プロジェクトを強化へ

日揮ホールディングス株式会社(以下、日揮HD)は2022年1月5日、同年1月1日付で「JGC ASIA PACIFIC PTE. LTD.(以下、JGCアジアパシフィック社)」を設立・始動したと発表した。これは、同社の長期経営ビジョン「2040年ビジョン」にて掲げるリージョナル経営体制の強化および、中期経営計画「Building a Sustainable Planetary Infrastructure 2025(以下、BSP2025)」の重点戦略のひとつ「EPC(設計・調達・建設)事業の成長市場・分野の拡大」の実現に向けた、アジア太平洋地域を対象とした営業・プロジェクト遂行体制強化の一環だという。

各国にまたがる拠点同士をつなぎ、アジア太平洋地域における事業を強力に推進

今後、人口増加とともに高い経済成長が見込まれるアジア太平洋地域では、各国で都市化が進み、上下水道、廃棄物発電、鉄道、化学・医薬品、食品工場などのファシリティー・インフラ案件が増加する傾向にある。加えて、増加するエネルギー需要に対応しつつ低・脱炭素化社会を実現するため、再生可能エネルギーなどのエネルギートランジション案件が急激に増加している。

日揮HDはこれに対し、1970年代以降、フィリピンやインドネシアをはじめとする東南アジア地域に海外エンジニアリング会社を設立し、石油・ガス・石油化学分野のプラント・施設のEPC事業を推進。また、同社グループの長期経営ビジョンである「2040年ビジョン」では、成長市場における地産地消型の営業およびプロジェクト遂行力の強化により事業拡大を目指す、「リージョナル経営体制の強化」を掲げている。

加えて、2021年度から始まった中期経営計画「BSP2025」においては、アジア太平洋地域を“EPC事業の成長市場”と捉え、リージョナル経営体制を推進し、対応を強化していく方針だ。

この一環として今回設立したJGCアジアパシフィック社は、アジア太平洋地域の統括拠点ならびに、シンガポール国内と周辺国を対象とした、プロジェクト遂行拠点としての役割を担う。さらに統括拠点として、フィリピン、インドネシア、ベトナム、マレーシアに点在する、海外エンジニアリング会社の営業やプロジェクト遂行を横串で支援することで全体最適化を図り、事業拡大を目指したいとしている。

この中では、プロジェクト部門と設計部門の協働により技術営業体制を構築し、各々の国で「地産地消」の提案型での顧客開拓や、案件組成および獲得を目指すという。

このほかにも、日系企業のアジア太平洋地域への事業展開を計画段階から総合的に支援し、案件の獲得を目指していく意向だ。また、JGCアジアパシフィック社を含め、5ヵ国にあるエンジニアリング会社同士が連携し、再生可能エネルギー分野をはじめ、「LNG受入基地」、「ガス火力発電」、「上下水道」、「廃棄物発電」、「鉄道」、「化学品」、「医薬品製造工場」、「食品工場」などへ、対象分野を拡大していくことも狙いとしている。

日揮HDは、「2040年ビジョン」および「BSP2025」で掲げた重点戦略を引き続き着実に実行に移していくことで、数値目標の達成を目指していきたい考えだ。

人口減少が進む日本に対して、アジア太平洋地域では人口増加にともなった市場の成長が見込まれている。経営の一手として、海外市場の開拓も視野に入れることがより一層求められていくかもしれない。