アサヒグループ、経営層の女性比率「4割以上」を目標に、「ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン ステートメント」を策定

アサヒグループホールディングス株式会社(以下、アサヒグループ)は2021年12月10日、これまでの「ダイバーシティ&インクルージョン ステートメント」に、“公正”を意味する「エクイティ」という考え方をプラスし、「ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン(以下、DE&I)ステートメント」という新名称に変更することを発表した。同社グループの全社員が、職場や家庭、公共の場などで自分らしく自由に輝けるよう、体制構築や制度見直しに取り組むことで、DE&Iをグループ全体で促進していきたい考えだ。

より個性が尊重される企業風土の醸成に向け、D&Iを強化

アサヒグループでは、去る2021年3月に、社員の一人ひとりが自分らしく表現し、自由に輝くことを目指し、「ダイバーシティ&インクルージョン(以下、D&I) ステートメント」を策定した。その中で、「性差別の撤廃」や、グループCEOによる「女性の地位向上を目的としたメッセージ発信」、国内にあるグループ各社の経営層を対象とした「パネルディスカッションの開催」といった取り組みを実施している。

今回、同グループはD&Iの取り組みをさらに促進すべく、新たに「ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン ステートメント」を策定。名称に「エクイティ=公正」という意味を加えることで、全社員が偏りなく尊重され、個性が認められる企業風土の醸成に、より注力していく意向だ。

「女性活躍推進」を重点施策とし、経営層における女性比率の向上

DE&Iの重点テーマには、「女性活躍推進」を位置づけている。国内外8つのグループ会社における経営層(取締役、監査役、執行役員、本社部長、事業場長など)の女性比率向上に取り組むとのことで、具体的な目標として、2030年までに現状の「22%」から「40%以上」を目指す方針を示した。

この他、同社の国内グループ会社で取り組む、DE&Iの主な内容は以下の通り。


(1)DE&I推進体制の構築


DE&I委員会の設置
アサヒグループジャパン社長、アサヒビール社長ら計7名で構成した、DE&I委員会を設置。国内の同社グループ全体の取り組み方針決定の場として、制度の見直しや環境整備、風土醸成などに向けた討議を、2022年1月から年2回以上実施する。

DE&Iサポーター制度の導入
社員の取り組みに対する参画意識の醸成と、職種・役職や世代が異なる多様なメンバーの意見反映のため、DE&Iサポーター制度を導入し、「会社に対する提言」、「意見収集」、「周囲の理解促進に向けた働きかけ」を行う。サポーター(任期:原則1年)は、国内グループ会社の全社員を対象に公募し、15名程度で構成予定。


(2)制度・仕組みの見直し


▼「昇進・昇格要件」や「評価制度」の見直しを実施。性別にとらわれず、育児や介護等を含む多様なライフスタイルや価値観を尊重し、公平な機会提供と公正な処遇決定を促進する。

▼男性社員の育児休業取得に関する目標設定を検討する。


(3)教育・風土の醸成


マネジメント層向け研修
約900名の全マネジメント層に対し、無意識の思い込みや偏見(アンコンシャスバイアス)に関する研修を、2022年1月に開催する。2023年以降は、新任マネジャーを対象に毎年1回の実施を予定。

女性社員の研修参加率向上
女性社員を対象としたキャリア研修を実施。選抜研修など、各種研修への女性社員の参加率を、現状の「約10~20%」から「40%」へ向上させることを目指し、女性社員のキャリア開発支援を強化する。

ワークショップの実施/社内イントラに意見交換の「場」を設定
DE&Iについて意見を交わすワークショップを、2022年5月から月1回程度、毎回異なるテーマで開催。社内イントラ上では、DE&Iについて自由に語れる場を作り、経営層や人事部門からのメッセージ発信を通じてフィードバックを行う。


グローバル化やニーズの多様化に対応するためには、「多様」、「多文化」な組織作りが必要不可欠になりつつある。企業が仕組みを見直しながら、個人を尊重する意識を育み、社員一人ひとりが個性を発揮できる場を作ることが、自社のビジネス発展に向けて有効な策となりそうだ。