約8割の企業で「DX化」が進まず。部署による推進度合いの差や、推進に向けた課題が調査で浮き彫りに

株式会社LegalForceは2021年11月18日、「企業におけるDX進捗状況」に関する調査の結果を発表した。調査日は2021年10月20日で、会社員、会社役員、公務員のいずれかに該当する1,000名から回答を得たという。同社ではこの結果から、企業の部署別のDX進捗状況、および推進に向けた課題などを考察している。

DX化に着手済みの企業は約3割にとどまる

さまざまな分野でデジタル化が進むなか、企業のDXは進んでいるのだろうか。はじめに同社は、「ご自身の部署で業務のDX化は進んでいると思うか」と尋ねた。「進んでいると思う」が6%、「まあ進んでいると思う」が17%で、合わせて23%が「進んでいる」と回答した。一方で、「あまり進んでいない」が19%、「全く進んでいない」が16%となり、これに「よくわからない・知らない」の33%と合わせた、68%の企業でDXが進んでいない現状がうかがえる結果となったようだ。
約8割の企業で「DX化」が進まず。部署による推進度合いの差や、推進に向けた課題が調査で浮き彫りに

DX化が進んでいない部署は、経理・財務・総務・法務・営業など

続いて、上記の回答を回答者が所属する部署ごとに見てみると、「進んでいる」および「まあ進んでいる」の合計が多かったのは、「広報(マーケティング)」の44%や、「人事・労務」および「情報システム」の40%などだった。一方、「あまり進んでいない」、「全く進んでいない」および「わからない・知らない」の合計が多かったのは、「経理・財務」の77%、「総務」の75%、「営業、販売・サービス」の73%などであった。これらの部署では、いずれも7割以上が、「DXが進んでいない」または「推進状況を把握できていない」という実態が、浮き彫りとなった。
約8割の企業で「DX化」が進まず。部署による推進度合いの差や、推進に向けた課題が調査で浮き彫りに

4割以上が新型コロナ拡大以前から「デジタルツールの導入を意識」

また、「いつからデジタルツールの導入を意識しましたか」との質問では、「1~2年未満前」が21%で最多に。新型コロナウイルス感染症拡大下で意識し始めた企業が、約2割となった。一方で、「2~3年未満前」が18%、「3~4年未満前」が9%、「4~5年未満前」および「5~10年未満前」が8%となるなど、コロナ禍以前から導入を意識していた企業も4割以上存在することがわかった。
約8割の企業で「DX化」が進まず。部署による推進度合いの差や、推進に向けた課題が調査で浮き彫りに

DX推進に向けた課題は「推進者の不在」や「予算不足」

同社はさらに、「DXを推進するうえでの課題」を尋ねており、それに対して206名と最も多かった回答は「推進者がいない」。以下は、「予算がない」が169名、「セキュリティの安全性への懸念」が101名などと続いた。企業のDXを推進するデジタル人材の不足や、構想やアイデアがあっても予算がないことに苦戦している企業が多いようだ。一方で、「特に課題はない」との回答も129名となり、着手してみなければ「どのような課題があるかがわからない」という実情もありそうだ。
約8割の企業で「DX化」が進まず。部署による推進度合いの差や、推進に向けた課題が調査で浮き彫りに

9割以上で「DX推進における課題解決への取り組み」が進まず

調査では最後に、「DXを推進する上での課題に対する、解決策への取り組み状況」を質問。すると、「解決に向けて取り組んでいる最中」としたのは8%、「解決方法を検討している段階」および、「解決方法の検討までは行っていない」がともに28%、「解決しようとしているかわからない」が36%となった。解決に向けて何らかの取り組みを実施している企業は1割未満で、「検討中」や「模索中」の企業が大半を占めることが明らかとなった。
約8割の企業で「DX化」が進まず。部署による推進度合いの差や、推進に向けた課題が調査で浮き彫りに
企業のDXに向けた取り組みは、思うように進んでいないのが現状のようだ。推進できる人材や予算をどのように確保するのかも課題となりそうだが、まずは長期的な企業の展望から、「どのような方向でDXを推進するのか」を検討することも必要なのかもしれない。