経産省が中小企業者に向け「エクイティ・ファイナンス」に関する基礎情報を公開。新規事業や研究開発の後押しに期待

経済産業省(中小企業庁)は2021年11月8日、株式発行により資金調達を行う「エクイティ・ファイナンス」について、「利点や株式評価方法、出資者のEXITの基礎知識等をまとめた資料を作成した」と発表した。これは、中小企業者による「エクイティ・ファイナンス」活用の後押しを目的としたもの。あわせて、条文解説を含めた投資契約書のひな形を、中小企業庁のホームページ上で公開した。

中小企業者の「エクイティ・ファイナンス」活用を推進

多くの中小企業者は、資金調達の際に金融機関による融資を利用しており、株式発行による資金調達(エクイティ・ファイナンス)を利用するケースはほとんどないのが現状だ。しかし、実際には、新規事業の立ち上げや研究開発、他社のM&Aなどに取り組むにあたって資金調達が必要な場合には、「リスクマネー」としてエクイティ・ファイナンスを活用する余地が大きいと、経産省は考えている。

実際に、中小企業庁による全国の中小企業者を対象とした調査でも、約6割の企業が、事業拡大等を目的とする成長投資の必要資金を、金融機関からの借入によって調達しており、そのうち約4割は、返済条件などの理由から、「借入額に制限があった」と評価しているとのことだ。また、約4割が、ポストコロナを見据えた事業転換や、事業化までに時間のかかるビジネス等にエクイティ・ファイナンスの利活用を考えていることが、調査結果で示されている。

そこで経産省は、資金の受け手となる「中小企業者」と、これらの企業に対して「エクイティ」に関する説明をするであろう「金融機関」等を想定対象として、エクイティ関連の基礎情報をまとめた資料を公開するに至った。資料は3部構成で、「中小企業者におけるエクイティ・ファイナンスの概要」のほか、「株式評価・出資者の投資回収」に関する情報、「株式の種類・増資の手続き」などを記載。また、中小企業者がエクイティ・ファイナンスを利用する際の、典型的な投資契約書(株式引受契約および発行要領)のひな形を作成し、公開している。

中小企業がまとまった資金を調達する方法は限られており、事業計画や構想があってもなかなか実現できないのが現状と言えそうだ。資金調達方法に迷う場合は、株式発行による方法も、選択肢の一つとして検討してみてはいかがだろうか。