エンジニアの離職が大きな懸念に。多くのシステム開発会社の経営者が「多面的評価」の必要性を認識

株式会社給与アップ研究所は2021年9月10日、システム開発を受託しているIT企業に対して実施した「人事66とマニュアル作成に関する実態調査」の結果を発表した。調査期間は2021年8月19日?23日で、対象企業の経営者および役員105名から回答を得た。これにより、エンジニアに対する多面的な人事66の必要性や、人材獲得にあたっての課題などが明らかとなった。

7割以上の経営者が、エンジニアの離職を懸念。その理由とは

企業や社会全体でデジタル化が進展するともに、デジタル化を推進できる人材の確保は企業にとって喫緊の課題となっている。システム開発を行う企業では、エンジニアの確保に向けて、どのような課題を持っているのだろうか。

はじめに、「自社のエンジニアが離職する懸念や不安を感じているか」を尋ねた。すると「非常に感じる」が20%、「やや感じる」が56.2%に。合わせて76.2%もの経営者が、エンジニアの離職を懸念している実態が明らかとなった。
エンジニアの離職が大きな懸念に。多くのシステム開発会社の経営者が「多面的評価」の必要性を認識
「離職の懸念がある」とした回答者に「その理由」を尋ねると、最も多かった回答は、「成長環境を用意できていないから」で、48.8%に。以下、「報酬を向上させられていないから」(47.5%)、「適切な人事評価ができていないから」(31.2%)などと続いた。成長環境の整備や、仕事への適切な評価、それに対する報酬などを課題としている場合が多いようだ。
エンジニアの離職が大きな懸念に。多くのシステム開発会社の経営者が「多面的評価」の必要性を認識

約8割が「多面的な人事評価制度が必要」と回答

続いて、「エンジニアの離職率を下げ、かつ採用を実施するために、エンジニアを多面的(スキル・成果・プロセス・コミュニケーションなど)に評価する人事評価制度は必要か」と尋ねた。その結果、「非常に思う」が33.3%、「やや思う」が44.8%と、合わせて78.1%が「多面的な評価制度が必要」と回答した。対して、「あまり思わない」は15.2%、「全く思わない」は1.9%にとどまった。
エンジニアの離職が大きな懸念に。多くのシステム開発会社の経営者が「多面的評価」の必要性を認識

半数の経営者が、自社の人事評価制度に課題を抱えている

そこで、「自社の人事評価制度は、エンジニアを多面的に成長させられるものになっていると思うか」を尋ねると、「全く思わない」が9.5%、「あまり思わない」が41%に。合わせて50.5%の企業が、自社のエンジニアに対する人事評価制度に課題を感じていることが判明した。
エンジニアの離職が大きな懸念に。多くのシステム開発会社の経営者が「多面的評価」の必要性を認識
エンジニアの離職防止や獲得にあたって、多面的な評価の必要性を感じながらも、いまだ自社の評価制度に課題を持つ企業の経営者が多くいることが判明した。自社に合った人材を獲得し、離職を防ぐためには、やりがいを感じられる業務環境の整備とともに、多面的な評価が可能となる制度の整備も急ぎたい。