東京海上日動と早稲田大学発のベンチャー企業らが再生可能エネルギー分野で協業へ。蓄電池の利活用を促進

東京海上日動火災保険株式会社(以下、東京海上日動)と東京海上ディーアール株式会社(以下、東京海上ディーアール)は2021年10月5日、早稲田大学発のベンチャー企業EC SENSING株式会社(以下、EC SENSING)と共同で、蓄電池管理技術の事業化に向けた協業を開始すると発表した。安全なエネルギーマネジメントに寄与するサービス・ソリューションの開発により、再生可能エネルギーのさらなる普及と、脱炭素社会の実現に貢献していきたい考えだ。

それぞれの知見や技術を掛け合わせ、脱炭素社会の実現に向けた新サービスを提供へ

地球温暖化にともなう気候変動を背景として、あらゆる産業で“低炭素化”および、“脱炭素化”に向けた動きが進展している。このような中、東京海上日動と東京海上ディーアールは、「再生可能エネルギー事業」を対象とした保険商品とサービスの開発、リスクコンサルティングの提供を通じて、脱炭素社会への移行に向けた取り組みに寄与してきた。また、産業の成長と発展への貢献を目指して、グループ横断的な「グリーン・トランスフォーメーション(GX)タスクフォース」を2021年2月に設置。顧客とともにカーボンニュートラルの実現および、脱炭素社会への移行を進めるための支援を実施している。

再生可能エネルギーを普及させるためには、電力を有効活用する「蓄電池」が不可欠だ。そのため、蓄電池の安全な利用に向けた「リスク評価」や「性能保証」、「電池のリユース」などの市場の拡大が予想されている。しかし、蓄電池リユースに関連した規制・制度は存在せず、蓄電池の二次利用の活用は限定的というのが現状だ。

そこで、東京海上日動と東京海上ディーアールは、「非破壊計測技術(インピーダンス法)」を活用した蓄電池の研究・開発を行うEC SENSINGとの協業を決定。同技術の研究・開発を実施している「早稲田大学ナノ・ライフ創新研究機構」との連携により、蓄電池のさらなる普及を推進するべく、新たなサービス・ソリューションの共同開発を進めていくという。

東京海上グループが有する、「企業の事業活動に関するリスクデータやデータ解析の知見」と、早稲田大学およびEC SENSING保有の「蓄電池やエネルギーマネジメントに関連するコア技術・知的財産権」を活用することで、蓄電池に関わる高度なリスクマネジメントおよび性能評価の開発・提供を実現させていきたい考えだ。

なお、今回の協働で行う事業は以下の通り。

(1)蓄電池の劣化診断を起点とした事業


xEV(電動車)、再生エネルギー事業者、企業・家庭、リユース事業者など、蓄電池の需要拡大が見込まれる各主要マーケットにおける、蓄電池の劣化診断やリスク管理サービスおよび、新たな保険商品の開発と提供を推進

(2)蓄電池のストレージサービスに関わる事業


再生エネルギー事業などで利用される蓄電池において、蓄電システム運用代行に加え、エネルギーのストレージサービスであるESaaS(Energy Storage as a Service)を手掛けることにより、オペレーション業務を含めた業容の拡大をはかる

(3)蓄電池データのオープンプラットフォームに関わる事業


蓄電池の劣化データを含む関連データの収集により、蓄電池の製造業者、機器ユーザー事業者のほか、さまざまな事業者へのデータ提供を実施。新たなソリューション・サービスを生み出す、オープンプラットフォームビジネスの確立を目指す


東京海上日動と東京海上ディーアール、EC SENSINGは、早稲田大学ナノ・ライフ創新研究機構と共同で研究・開発を進め、それぞれの技術やノウハウを提供し合い、蓄電池管理技術の実用化および普及に取り組む構えだ。さらに、脱炭素社会の実現に寄与するべく、幅広い業界と分野にサービスを提供する、データのオープンプラットフォームビジネスの構築も目指していくという。

脱炭素社会の実現に向けた新たなサービスや市場は、今後ますます活性化していくだろう。再生可能エネルギー分野をはじめ、各事業がどのように展開されるのかについて情報収集していくと、ビジネスのヒントにつながるかもしれない。