NTTのAfterコロナを見据えた「新経営スタイル」とは? 職住近接の「ワークインライフ」を推進し、リモートワークを基本に

日本電信電話株式会社(以下、NTT)は2021年9月28日、Withコロナ/Afterコロナ社会におけるNTTグループの変革の方向性として、リモートワークを基本とする新たなワークスタイルの導入や、環境エネルギービジョンを発表した。これらを通じて、分散型ネットワーク社会に対応した新たな経営スタイルを推進することで、持続可能な社会の実現に貢献していくという。

Afterコロナ社会に適合するため、IT環境整備やESGへの取り組みを強化

企業が「社会と経済の環境変化」に対応していくことは、事業運営の最重要課題である。Withコロナ/Afterコロナ社会の実現に向け、「DXの進展」や「感染症の脅威との共存」、「リモート・分散型社会への適合」など、様々な変革が求められている。

このような中でNTTグループは、業務変革やDXを推進しながら、既存制度の見直しやIT環境の整備などを行い、リモートワークを基本とする新しいワークスタイルへの変革を図っていくことを決定した。「ワークインライフ(健康経営)」を推進し、オープン、グローバル、イノベーティブな業務運営を実現することで、「顧客のDX支援」、「地域創生の促進」、「レジリエンス向上」、「分散型社会への貢献」等に繋げたい考えだ。

また、同日発表された「NTT Green Innovation toward 2040」で、新たな環境エネルギービジョンとして、ESGへの取り組みによる企業価値向上を図り、Well-being社会の実現に貢献する意向を示した。「事業活動による環境負荷の削減」や「限界打破のイノベーション創出」を通じて、“「環境負荷ゼロ」と「経済成長」”といった、相反する目的の同時実現を目指していくという。

同社が取り組む改革の内容は、以下の通り。

(1)クラウドベースシステム/ゼロトラストシステムの導入
・Work From Anywhereを可能とする、IT環境の整備

(2)業務の自動化/標準化(営業、保守、開発 等)
・Connected Value Chain化の推進(パートナー企業を含む)
・デジタルマーケティングによる顧客リーチの拡大(中堅中小企業層)等

(3)コンダクトリスク等を考慮した、ガバナンス強化
・170件以上のリスクの洗い出しによる、ステークホルダーとの適切な関係構築、サービス等ライフサイクルの的確な管理、危機管理能力の向上等の対策の実行

(4)紙使用の原則廃止(請求書/受発注書含む)
・NTTグループ全体の紙使用「原則ゼロ」化実施

(5)業務変革・DX推進に向けた制度見直し
・リモートワークに適合した情報セキュリティの体系化
・オフィス環境の見直し
・DX推進に向けたコア人材の育成

(6)女性および外国人/外部人材の活躍推進
・女性管理者および役員登用の推進、各種サポートやトレーニングプログラムの拡充
・外国人・外部人材の積極採用、グローバル経営人材の育成

(7)入社年次による配置からの脱却による、ジョブ型人事制度導入
・全管理職へのジョブ型人事制度拡大
・自律型キャリア形成の推進

(8)職住近接による「ワークインライフ(健康経営)」推進
・リモートワークを基本とするワークスタイルにより、自ら働く場所を選択可能に
・「一極集中型組織」から、自律分散した「ネットワーク型組織」への改革

(9)組織(本社・間接部門含む)を地域へ分散
・首都圏等から地域(中核都市)への組織分散
・地域の一次産業等に対する、地域密着型の地方創生事業の加速

(10)情報インフラの整備推進
・地方での街づくりや、新たな社会インフラの開発導入推進
・自然災害に対する、強靭なインフラ整備および、減災に向けた取組みの実施

変化が激しく、先行き不透明な現代において、企業が持続的な存続や成長を遂げるためには、これまでの経営スタイルを見直すことも重要となるだろう。自社にとって優先度の高い取り組みを定め、方針の検討を進めてみてはいかがだろうか。