「ESG投資」に対する個人投資家の意識とは。若い世代の関心が高い傾向に

株式会社日経リサーチは2021年7月26日、首都圏40キロ圏内在住の3,103名(20~74歳の男女)を対象に実施した、生活者金融定点調査「金融RADAR」特別調査2021年版の結果を発表した。本稿では、そのうち“何らかの投資商品を保有する1,797名”を対象とした「ESG投資の実態」についてお伝えする。これにより、ESG投資に対する個人投資家の意識や、年代別の投資行動の状況等が明らかとなった。

ESD投資への関心は20~30代でより高く、年代により違いが

ESGとは、「Environment(環境)」、「Social(社会)」、「Governance(社会)」の頭文字を取ったもの。これらの要素を考慮した「ESG投資」が、サステナブルな社会に欠かせない要素として、近年注目を集めている。ESG投資への関心は、年代によって差があるのだろうか。

はじめに、「ESG投資に興味・関心がある人の割合」を年代別で比較した。すると、「20~30代」が37.7%、「40~50代」が28.3%、「60~70代」が30.8%となった。特に20~30代といった若い世代で、ESG投資に関心を持つ人が多いことが判明した。
「ESG投資」に対する個人投資家の意識とは。若い世代の関心が高い傾向に

若年層ほど、ESGを意識した投資を実施

続いて、「実際に“企業のESGへの取り組みを意識して投資をしている”人の割合」を、年代別で比較した。その結果、「20~30代」が26%、「40~50代」が14.9%、「60~70代」が14.8%となった。実際の投資行動を見てみても、若い世代がESG投資に高い意欲を持っていることがうかがえる。
「ESG投資」に対する個人投資家の意識とは。若い世代の関心が高い傾向に

年代で関心がある分野も異なる

また、「ESG投資に興味や関心がある」とした543名に、「具体的にどのような取り組みを行っている企業に投資したいか」と尋ねた。すると、全体では「気候変動への対策」や「再生エネルギーの利用」を中心に、“環境分野”への関心が高い結果となった。

年代別では、20~30代は「ジェンダー平等など人権への配慮」、「働きがいのある職場づくり」といった“社会分野”への関心が高い。一方、60~70代は「再生エネルギーの利用」、「気候変動への対策」といった“環境分野”が上位となり、年代による違いがうかがえる。
「ESG投資」に対する個人投資家の意識とは。若い世代の関心が高い傾向に
ESGの考え方は、世間だけではなく個人投資家の間でも浸透しはじめており、今後ますます投資指標としての存在感は増していくかもしれない。ESGへの取り組み・発信を行う企業は、個人投資家の動向を注視し、対応していく必要がありそうだ。