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【社長の年金】第12回:万が一の時、社長は家族にどんな年金を残せるのか<法人・代表取締役編>

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他界した夫の厚生年金の加入期間が短いと、妻の遺族年金は増額される

「遺族厚生年金」は、他界した人の「厚生年金の加入期間の長さ」と「給料額の多さ」の両方に比例して金額が決定される。つまり、他界した家族が厚生年金に長く加入していたほど、また、現役時代の給料水準が高かったほど、遺族が受け取る「遺族厚生年金」の額も高額になるわけだ。

それでは、生前の厚生年金の加入期間が短い場合はどうなるだろうか。例えば、法人の代表取締役が厚生年金に5年加入したところで、不慮の事故に遭って他界したとする。この場合、夫の厚生年金の加入期間はわずか5年しかないため、残された妻が受け取る遺族年金の額は、非常に少額になるように思われる。

ところが、「遺族厚生年金」には、このような場合に年金額を増額する救済措置が用意されている。それは、厚生年金の加入期間が25年未満で死亡した人の遺族に対しては、「厚生年金の加入期間は“25年”だった」と仮定し、実加入期間に応じた年金額よりも多い遺族年金を支払うという仕組みである。

そのため、前述の“加入5年”で代表取締役である夫が他界したケースでも、残された妻は「厚生年金に“25年”加入した夫が他界した」とみなされ、増額された遺族年金を受け取れることになるのだ。

残された妻が30歳未満だと、遺族厚生年金の支払いは5年で打ち止め

「遺族厚生年金」は、原則として生涯受け取れる年金である。しかしながら、わずか5年間しかもらえない特殊なケースもある。「夫を亡くした妻が30歳未満で子どもがいない場合」だ。

例えば、法人・代表取締役である夫が他界し、「残された妻は29歳で子どもがいない」という例で考えてみよう。このケースでは、「夫を亡くした妻が30歳未満で子どもがいない場合」に該当するので、この妻は29歳から34歳までの5年間だけ「遺族厚生年金」を受け取り、その後は遺族年金を一切、もらうことができない。この仕組みは、「夫を亡くした妻の年齢が29歳か30歳かで、遺族年金の受取期間に何十年もの違いが出る」という特徴があり、とても厳しいルールと言えよう。

前回・今回と2回にわたり、社長に万が一のことがあった場合の遺族年金について、基本的なポイントを見てきた。総合的に判断すると、個人オーナーである夫が他界した場合より、法人・代表取締役である夫が他界した場合のほうが、残された妻が受け取る遺族年金はかなり手厚いといえる。

ただし、遺族年金の受取資格・金額には、他にもさまざまなルールが存在する。また、法律の内容が改正されることも少なくない。従って、残された家族が思わぬ年金トラブルに遭わないようにするには、社長業のかたわら、年金制度に関する情報収集を進めることも大切ではないだろうか。


大須賀信敬
コンサルティングハウス プライオ 代表
組織人事コンサルタント・中小企業診断士・特定社会保険労務士

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 経営プロ編集部

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経営者・事業部門責任者から部長・課長・リーダー層まで、経営の根幹を支える人たちの成長を支援するパートナーメディアを目指します。日々の業務に役立つニュースや小ネタ、組織強化や経営理論まで幅広く学べる記事を提供します。

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