2021年度の「設備投資計画」は上向く見込み、小規模企業が「補助金や助成金活用」に積極的

株式会社帝国データバンクは2021年5月19日、2021年度の設備投資計画などに関する企業の見解について調査を行い、その結果を発表した。調査期間は2021年4月16日~30日で、全国の11,003社より回答を得た。結果を昨年2020年度の調査結果と比較することで、2021年度の設備投資計画の有無や実態など、新型コロナウイルス感染症の影響による動向変化が明らかになった。なお、設備投資に関する本調査は2017年4月以降毎年4月に実施しており、今回で5回目となる。

設備投資計画は6割弱。前年度より5.2ポイント増加

現在、新型コロナウイルス感染症への対策補助事業として、政府は設備投資支援などを進めている。先に打ち出された「令和3年度税制改正大網」では、DXや脱炭素に向けた投資促進税制を創設するなど、設備投資に関する政策を積極的に推進している。企業は2021年度の設備投資計画について、どのような考えを持っているのだろうか。

はじめに、「2021年度に設備投資を実施する予定(計画)があるか」を尋ねた。すると、「すでに実施した」が6.2%、「予定している」が30.5%、「実施を検討中」が21.3%と、合計58%が「実施済」または「計画中」と回答した。2020年度4月に実施した調査(前回調査)と比較すると、5.2ポイント増加しており、新型コロナの影響が始まった2020年度よりも設備投資計画が上向いているとわかった。
2021年度の「設備投資計画」は上向く見込み、小規模企業が「補助金や助成金活用」に積極的

4割の企業は「設備の代替」を予定している

次に、「予定している設備投資の内容」を尋ねた。その結果、「設備の代替」が41%と最も多い結果に。以下、「既存設備の維持・補修」が33.2%、「情報化(IT化)関連」が30.3%、「省力化・合理化」が27.8%と続いた。

前回調査と比較すると、「新製品・新事業・新サービス」が18.6%(3.9ポイント増)となり、全項目の中で最も増加していた。また、燃費改善や環境対策といった脱炭素に関連する「省エネルギー対策」は7.4%(0.6ポイント増)と、政府が積極的に施策を主導しているものの、1割に満たない結果となった。
2021年度の「設備投資計画」は上向く見込み、小規模企業が「補助金や助成金活用」に積極的

資金調達方法は「自己資金」が4割超

続いて、「主な資金調達方法」を尋ねると、「自己資金」が43.2%と最も多かった。次に、「金融機関からの長期借入」が25.8%、「短期借入」が5%と、金融機関からの調達が合計30.8%という結果だった。また、それ以外の「補助金・助成金」の項目においては、従業員数5人以下が17.1%、6~20人が16.5%となっており、小規模企業が補助金や助成金を積極的に活用していることがわかった。
2021年度の「設備投資計画」は上向く見込み、小規模企業が「補助金や助成金活用」に積極的

設備投資をしない理由は「先行きが見通せない」が最多

最後に、設備投資を予定していない企業に対し、「その理由」を尋ねた。すると、「先行きが見通せない」が55%と、全体の半数以上を占めた。前回調査の64.4%からは9.4ポイント下回っているものの、依然として半数を超える企業で先行きに不安を抱えていることが判明した。次点は、「現状で設備は適正水準である」が32.6%となり、前回調査からの25.3%からは7.3ポイント増加した。現時点では、全体の3割が必要性を感じていないという結果だった。

また、中小企業の結果では「借入負担が大きい」(13.2%)、「手持ち現金が少ない」(10.9%)の割合が大企業より高く、資金面の懸念から設備投資を控えている様子がうかがえる。
2021年度の「設備投資計画」は上向く見込み、小規模企業が「補助金や助成金活用」に積極的
新型コロナ収束の目途が立たないなか、資金の調達や設備投資に悩む企業もあるだろう。市況や各種政策、他企業の動向を引き続き確認しながら、今後を見据えた計画を立てていくことが必要となりそうだ。