7割の企業が「産業医」を直接雇用するも、「産業保健や労務について相談できないとき」に不満を感じている

株式会社メンタルヘルステクノロジーズは2021年5月14日、「企業の産業医契約状況」に関する調査結果を発表した。調査期間は2021年2月2日~4月30日で、全国の企業220社より回答を得た。これにより、企業における産業医の実態が明らかとなった。

産業医の「紹介会社の利用」は2割未満にとどまる

現在、日本企業では常時50名以上の労働者を雇用する事業所において、労働者の健康管理等を効果的に行えるよう産業医を1名以上選任することが定められている。では、産業医はどのような契約形態により雇われているのだろうか。

はじめに、「産業医との契約形態」を尋ねた。すると、「直接雇用」が74%と最も多かった。以下、「紹介会社を利用」が19%、「未契約」が6%、「不明」が1%と続いた。7割以上の企業が、健康保険組合やその他関係者の紹介を通じて「直接雇用にて契約」しており、「紹介会社を利用している」のは約2割であることがわかった。
7割の企業が「産業医」を直接雇用するも、「産業保健や労務について相談できないとき」に不満を感じている

直接雇用している企業のうち、「メンタル不調者がいる」は半数以上

次に、産業医を直接雇用している企業に「現在、メンタル不調の従業員はいるか」を質問したところ、「はい」が55%、「いいえ」が45%と、精神面に何らかの不調を抱えている従業員がいる企業は過半数に及んだ。
7割の企業が「産業医」を直接雇用するも、「産業保健や労務について相談できないとき」に不満を感じている

産業医への不満は「産業保健、労務についての相談ができない」が最多

最後に、直接雇用している企業に「産業医に対する不満」を尋ねると、「産業保健、労務についての相談ができないとき」が43%と最も多かった。以下、「メールの返信が遅いとき(ないとき)」が22%、「担当者と連絡がとれないとき」が19%、「産業医と連絡がとれないとき」が16%と続いた。直接雇用していながらも、相談や連絡などの連携が取りにくいことを懸念する声が目立った。
7割の企業が「産業医」を直接雇用するも、「産業保健や労務について相談できないとき」に不満を感じている
コロナ禍で働き方や生活が変化したことで、メンタル面の不調を訴えるビジネスパーソンも増加傾向にあるようだ。いざというとき従業員のケアを迅速に行えるように、こまめな情報共有などを行い、産業医との連携をはかっておきたい。