サントリーがグループ全体で産業医の体制を統一、勤務地や事業場を問わず全従業員が同等のフォローを受けられるように

サントリーグループは、メドピア株式会社の連結子会社である株式会社Mediplat(以下、Mediplat)の産業保健支援サービス「first call」を用い、「オンライン産業医面談」やグループ産業医の体制構築・統括業務を委託することを決定した。これによりグループ内で統一した産業保健体制を築き、従業員がどの会社や事業場にいても均一のサービスを提供することで、自社の健康推進施策を進めていきたいという。

新サービスを導入するも、多大な負担が課題に

サントリーグループは2014年に「健康づくり宣言」を実施し、「看護職のエリア担当制の導入」、「看護職との健康面談」、「社内向け健康情報サイトの開設」などを実施。さらに、2016年には経営層がGCHO(Global Chief Health Officer:健康管理最高責任者)に就任し、新たに「健康経営」を開始するなど、健康推進体制を強化させてきた。また、世界各国のグループ会社を対象としたグローバルウォーキングイベントや、社内独自の禁煙施策など、さまざまな取り組みを推進しており、中長期的な目標として健康KPIも設定している。こうした対応により、従業員の心身の不調や疾患を未然に防ぐとともに、「働き方改革」とも連動した「やりがいのある会社生活」および「プライベートの充実」の実現を目指してきた。

そのような中、同社では新型コロナウイルス感染症拡大の長期化に伴い増加した、従業員の健康不安を取り除くため、2021年1月よりMediplatが提供する「オンライン医療相談」サービスを導入。サントリーグループの従業員およびその家族は、さまざまな医療・健康上の疑問や不安を、チャットやビデオ通話で時間を問わず専門医に相談することが可能となった。

一方で、サントリーグループではこれまで、産業保健業務に必要な体制構築から業務の遂行までを会社・事業場単位で個別に実施しており、国内グループ各社やその事業場に多大な負担となっていた。さらに、グループ全体で産業保健業務に関して統一された判断基準がない状態で、健康事業が運営されていたという。同事業に関する社内アンケートでは、健康の意義と必要性を認識しながらも、コストと業務負荷の両面から実施が不十分である状況が判明した。この結果を踏まえ、同グループでは「グループの共通基盤」として産業保健体制を構築することが、「コストと業務負荷を抑制しながら、健康経営を強力に推進することにつながる」という認識に至った。

産業医の負担軽減を目指し、産業保健支援サービスを導入

このような課題認識により、今回、サントリービジネスシステム社とMediplatは、サントリーグループ全体で「健康経営」を構造的に推進していくことを決定。2021年4月より全国を9エリアに分け、エリアごとに「地区産業医」を配置し、その産業医がエリア内のグループ企業や事業場を横断して担当する「エリア担当制」に変更した。加えて、グループ内の判断基準を統一し、グループ方針に基づいた産業医業務を実現するために、各エリアに配置された地区産業医を統括する「グループ統括産業医」を新たに設置している。さらに、「オンライン産業医面談」を積極的に活用し、面談を受ける従業員側と、実施する産業医側の時間や場所の制約をなくし、より迅速かつ丁寧に対応できる体制を確立した。これらの取り組みにより、同グループで働く従業員全員が、会社や勤務地に関わらず、グループの基準に沿った同等なフォローを受けられるような体制の実現を目指すという。

新型コロナの影響により、産業医の活躍が増えた企業も多いだろう。従業員の不調や不安を早期解決できるよう、このようなサービス導入を検討するなどして、解決のための対応に当たりたい。