ユニリーバ、気候変動や自然環境および次世代への資源の調達を目的に新たな取り組みを実施

ユニリーバは2020年7月7日、地球環境をよりよいものにしていくための、新しいコミットメントと取り組みを同年6月15日より開始していると発表した。これにより、気候変動の食い止めや自然環境の保護と再生、次世代への資源引継ぎにむけ、これまで以上にアプローチを強化していくという。

各子会社でも環境問題へ取り組む

ユニリーバは、新たに創設された気候&自然基金(Climate & Nature Fund)に、各ブランドから総額10億ユーロ(約1,200億円)を投資、今後10年にわたり活用していくとしている。

プロジェクトの例として、「景観の回復」、「森林の再生」、「炭素隔離」、「野生生物の保護」、「水の保全」などが挙げられる。これまでも、ユニリーバの子会社クノールでは「サステナブルな農業のための支援」をしている他、さまざまな子会社で「酪農場での温室効果ガス排出量削減」や「ネイティブアメリカンの再生可能エネルギーの利用」などに取り組んでおり、今回の投資はそれぞれの活動をよりアップグレードさせるために利用するという。

カーボンフットプリント導入により、2030年までの温室効果ガスの排出量を実施ゼロへ

ユニリーバでは、気候危機に対する取り組みとして、「2030年までに事業運営から生じるCO2排出量をゼロにし、製品のバリューチェーン全体を通じて温室効果ガスの排出量を半減させる」ことを目標としている。さらに、「2039年までにユニリーバ製品から生じる温室効果ガスの排出量を実質ゼロにする」ことを追加した。これには原料の調達から、製品が店頭に並ぶまでの全過程が含まれている。

これはパリ協定で定められた「2050年まで」という期限よりも11年早い目標設定となっており、達成のためはバリューチェーン全体のパートナーと協力が必須となる。そこで、既に取り組みを実施しているサプライヤーとの提携を優先し、ゼロエミッション(温室効果ガス排出量実質ゼロ)の加速を図る。

具体的には、製品の原材料の調達から廃棄・リサイクルに至るまで、ライフサイクル全体を通して排出される温室効果ガスの排出量を、CO2に換算して表示する「カーボンフットプリント」を取り入れるために、他企業や組織とともにデータ収集や共有を行うとしている。

自然環境の保護と再生に向け、新技術を駆使してさらなる高基準へ挑む

同社では、森林由来の調達の約9割で、世界的基準をクリアしたサステナブルな資源を利用するなど、10年以上にわたって自然環境の保護と再生を実践してきた。しかし、森林破壊を終わらせるには、さらに高基準をクリアしなければならないという。

そこで同社は、2023年までに森林破壊を一切しないサプライチェーンを実現するため、人工衛星によるモニタリングや位置情報追跡、ブロックチェーンなどの活用により、「追跡可能性」や「透明性」を向上させていく。これにより、小規模農家を巻き込み、派生物の調達へのアプローチを変容させるとともに、派生物の分別設備に大規模な追加投資を実施する。

また、業界やNGO、政府機関とともに、森林や泥炭地、熱帯雨林に関わらず、炭素蓄積量が多い地域などの保護にあたる。さらに、農業環境の保全と再生を目指す農業従事者や小規模農家を支援することで、生物多様性の向上を図り、土壌や水の保全に取り組むとしている。また、水質問題を抱える地域に貢献するため、「2030年水資源グループ」にも参加を決めた。

環境問題と生産活動には深い関わりがあるとされており、サステナブルな生産活動に向け、一刻も早く手を打つことが求められている。これまでにも、さまざまな地域でプラスチックパッケージを減らす・無くすといった動きなどが見られているが、今後も企業が主体となり、消費者を巻き込んで意識を変えていくことが重要になるだろう。事業をおこなう中で、今一度、自社の製品や事業運営による環境負荷を考えてみてはいかがだろうか。