経営・ビジネスの課題解決メディア「経営プロ」

変わらない・変わりたくない人への対処法

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

企業を取り巻く環境が目まぐるしく変化する中、経営者だけでなく従業員一人ひとりが状況の変化に応じて意識・行動を変えなければいけないことは必然である。しかし、いくら声高に檄を飛ばしても、変わらない従業員の姿を見て、忸怩たる思いを抱かれているクライアントの心の内を吐露されることが多い。また、事業承継に取り組まれている方が、既存従業員からの信頼を得ることに苦心しているという相談を受けることも多くなってきた。こうした“変わらない・変わろうとしない人”たちには、どのように対処すればいいのだろうか。

変化に対し抵抗する5つの理由

まず考えなければいけないことは、なぜ変わらない・変わりたくないのか?ということである。これには「恐怖」、「怠惰」、「執着」、「疎外」、「自尊」といった5つの理由がある。では、一つずつ見ていくこととしよう。

「恐怖」:
変化というのは、その後に何が起こるのか解らないということである。経験したことがないことに向かって進めと言われて、誰もが憶することなく突き進めるものではない。したがって、「変われ」という言葉は「恐怖」という言葉に置き換えられ、何もしなくなるか、傍観者を決め込み、安全を確かめてから変わり始める、という行動に繋がるのである。

「怠惰」:
経営者の視点から、不足している部分や不満足な部分が見えていたとしても、日常業務が回っているのであれば、従業員にとっては満足している状況である。それを変えようとしても、従業員はその必要性が理解できないし、それによって仕事が増えるかも知れないという抵抗感を生み出すことになるのである。

「執着」:
分かりやすい例では、長年ひとつの仕事に従事している者が自分のやり方に執着するということがあるが、この多くは、実は、過去に会社に裏切られた、あるいは、結局会社はやると言って何もしてくれなかった、などという経験に執着しているということが一番のネックになっている。これらは心理的なことであり、表出することがないため、いったいどんなことに執着しているのかと、推察してみることが必要であろう。

「疎外」:
どこの組織でも、声が大きい人の意見が通りやすい。また、各人の役割分担について、明確な線引き・定義づけがなされているケースは稀で、日常業務が回るようになった段階で、何となく決まったような分担のままきてしまっていることが多い。そうした場合、何か物事を決める際やイレギュラーな対応をする場合、決まった者が中心となり、それ以外の者はそれに従うだけになってしまいがちである。従うだけの者たちは自分の存在意義を確立できないまま、疎外感・孤独感を覚えつつ、日々業務をこなしているだけになっているのではないだろうか。

「自尊」:
変わるということは、今までの自分を否定する部分をどうしても含んでしまうものである。誰でも、自分のことを否定することは嫌なものであり、ましてや、ベテラン社員にとってみれば尚のことである。状況が変わったのだから、今までのやり方では通用しないということを理解してもらわない限り、抵抗感を拭い去ることは難しい。

変化とは楽しいものだと実感してもらう

では、どうすればこうした人たちを変えることができるのだろうか?それには、彼らに決定的に欠けているものを与える必要がある。それが「知識」、「体験」、「機会」の3つである。

「知識」とは、会社の外の世界についての知識である。同じ業界・製品を扱っていても、会社が違えばあらゆることが異なっていて当たり前である。また、一口に「改善」をしろと号令しても、そもそも「改善」とはどのようなものなのか分からないということもある。つまり、「知識」がなければ動けないということである。会社の外の世界を知り、具体的な手法を知ることで、変化への「恐怖」が和らぎ、行動に繋がっていくであろう。

「体験」とは、成功体験のことである。変わらない・変わりたくない人は、往々にして成功体験がほとんどない場合が多い。かつて、仕事といえば、怒られながら、背中を見ながら自分で盗めという風潮が強かった時代があった。そうした時代を過ごしてきた人にとっては、誰からも褒められることなく、黙々と自分なりのやり方を身につけて今に至っているため、新たな取り組みをすることは全くの未経験のことである。どんな小さなことでもいいから、何か変えてみるよう指示し、それに対し大げさに褒めてみる、という地道なコミュニケーションを重ねていくことで、成功体験の気持ちよさを実感してもらうことが必要である。

「意識」とは当事者意識のことである。前述の「執着」あるいは「疎外」感を持っている人には、変化というのは結局のところ、他人事に過ぎない。改善プロジェクトのメンバーに優秀かつ有望な者たちだけを選抜するのではなく、全員に明確な「役割」を与える(フォロワーでもよい)形をとり、自分はこの組織の一員だという意識を持たせることが不可欠である。一人ひとりに、腕章やバッジを支給するのもいい方法であろう。

以上のような過程を踏むことで、変化への抵抗感あるいは恐怖感を和らげ、積極的な行動に繋がっていくものと確信するが、それに先立って、何よりも重要なのは、経営者自身の言葉で、この組織においては何が「正常」で、何が「異常」なのかを、日頃から伝えておくことである。

それは、積極的に変化・改善に取り組んだものの、それが経営者の考えるものと違っている場合、せっかくの取り組みを否定され、また「変わらない・変わりたくない人」に逆戻りしてしまうことになりかねないからである。

経営者の信念や信条にそった変化への取り組みこそ、組織全体の成功体験となる。一人ひとりが思う存分、成功体験を味わい、そしてそれを共有してもらい、変化とは楽しいもの、幸福感を得られるものであると実感できるような機会を与えてほしい。

そうした取り組みにより、企業活動の健全さが担保され、環境の変化に応じた事業の継続・発展という、経営者の誰もが望む姿が実現していくことであろう。


組織力診断士
中尾 恭之

お気に入りに登録

プロフィール

 経営プロ編集部

経営プロ編集部

経営者・事業部門責任者から部長・課長・リーダー層まで、経営の根幹を支える人たちの成長を支援するパートナーメディアを目指します。日々の業務に役立つニュースや小ネタ、組織強化や経営理論まで幅広く学べる記事を提供します。

関連ニュース

会員登録 / ログイン

会員登録すると会員限定機能や各種特典がご利用いただけます。 新規会員登録

会員ログインの方はこちら