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減収続くも利益率は向上 富士通・田中社長の改革は本物か

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2年間の改革は順調に推移営業利益率6%は通過点

 ここまでのところ、田中社長が実行しているビジネスモデル変革の効果は着実に出てきているようだ。2年目の16年度の業績は、売上高が前年比4.8%減の4兆5,096億円と減収となったが、営業利益が同6.8%増の1,288億円、利益率2.9%となり、すべて公表計画を上回る結果となった。

 また、フリーキャッシュフローは前年の887億円から1,048億円へ、自己資本比率は24%から28%へとそれぞれ着実に改善。一方で海外売上比率については、ビジネスモデル変革の一次的な費用や為替の影響などで、前年の40%から37%にマイナスとなった。現在進めている構造改革の効果が出てくるのにまだ時間がかかる見込みだ。

 さらに16年度は、傘下の富士通テンの株式の一部をデンソーに譲渡し、デンソーの子会社とした。そしてニフティのコンシューマービジネスをノジマに譲渡したほか、PC事業についてレノボと事業統合に向けた交渉を開始。加えて、SE子会社を統合し、SEリソースの集中、セキュリティーに関する統合本社の設置など、まさに第3の変革期といえる取り組みを次々と進めてきている。

 17年度については、営業利益1,850億円、利益率4.5%を見込んでいる。利益率については、最終目標の10%に向けて、17年度は5%ゾーン、18年度は6%ゾーンの目標を設定。「就任以来、営業利益率10%を掲げ、これは社員にも浸透し、全員が共有しているという状態」と田中社長は手応えを感じている。

 15年度、16年度はビジネスモデル変革にかかわる一次的費用のため、利益率は3%ゾーンにとどまっていたが、17年度は改革の効果が業績に寄与することが予想され、利益率見込みの4.5%はミニマムラインと位置付けている。ビジネスモデル変革の効果を享受することで、さらなる利益率アップを目指す。18年度の6%は同社にとっても過去最高の水準となるが、10%を目指す上ではあくまで通過点だという。

 田中社長はここまでの改革の進捗状況を2合目か3合目と言い切る。その直接的な要因は、PC事業についてレノボとの交渉が当初の予定より遅れており、最終合意に至らず、独立化が進んでいないためだ。

 田中社長によると、「両社のシナジーをいかに出すかについて、最終的に詰めている段階で、破談になることはない。早晩まとまる」という。PC事業の統合で改革が5合目あたりまで一気に進むと見ている。PC事業を売却することになれば、利益率は一気に改善。17年度の5%ゾーン達成は容易と見られ、その先の6%ゾーンも視野に入ってくる。

 その一方でPC事業を売却すれば、16年度まで3期連続で減収となっている売上高はさらに落ち込み、4兆円を割り込むことが予想される。売上至上主義ではなく、まず利益率を改善し、世界と戦える体勢を整えることが、田中社長の改革の第一義だが、ピーク時には5兆円を超えていた売り上げが4兆円を切ることにはネガティブな印象も付いて回る。「売り上げは利益の源泉」という言葉もある。売り上げのトップラインについて、田中社長としては、構造改革の結果として、売り上げ成長も付いてくると見ている。

 「全体のトップラインは一時的にはブレたりすると思うが、いろんな取り組みをした後に安定すれば、徐々に効果が出てくると考えている」(田中社長)

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