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社員は会社を見ている

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実例

 もう何年も前の話になるが、ある中小企業(規模は25名程。以下「X社」)で出産を控えた女性社員(以下「Aさん」)が初めて登場した事例がある。時を同じくして筆者が関与した訳であるが、AさんもX社も相当悩んでいた。Aさん側の希望は、できることなら仕事と子育てを両立したい。X社としても、働き続けて欲しいのは山々だった。しかし、休業したらAさんが担ってくれていた仕事をどうすべきか。また代替要員を確保すべきか、Aさん復帰後は余剰人員へ繋がらないか等々を心配していた。またX社には、Aさんの後にも結婚・出産・育児を控えることになるだろう女性社員が複数人在籍していたのである。
 結果は……、うまく行った。今でもAさんは子育てをしながらX社に勤務している。その後、立て続けに2名の社員が休業取得し復帰するに至っている。今頃になって、この女性社員達が筆者に話してくれたことがある。皆それぞれに、出産を機に辞めなければならないだろうなと思っていたそうだ。ただAさんが休業し、実際に復帰する過程を間近でみていて、自分達もこの会社で働き続けることができるんだ!と安心したという。X社における自分のキャリアを長期的な観点で考えられるようになったとも語ってくれた。また全社的にも、お互い様精神で各々が今まで以上に考えて仕事をするようになり、職務分担・効率・合理化等が進められ連帯感が増したそうである。

おわりに

 今後は、団塊世代が後期高齢者に突入する。育児の問題もさることながら、今以上に介護の問題が現実味を帯びてくる。加えて団塊ジュニア世代は40代だ。社内で役職に就く者が多く、責任ある仕事を任されている場合が多いだろう。その社員達が親族介護等によって、制約された働き方や休業せざるを得ない事態に陥ることを今から考えておかねばならない。対応が遅れれば、企業の屋台骨である社員達が辞めてしまうことに繋がるからだ。冒頭で触れたとおり、人手不足が顕著である。ネームバリューが低い中小企業では採用困難な事態が続くと推察される。対策としては、既存社員が外部流出しないよう注視しつつ、新たな人材を確保して人員を増やす形が望ましい。したがって、生産性を高めることはもとより、就業環境の整備、すなわち、作業合理化・効率化による時短化や在宅勤務制度の導入等を進めることは喫緊の課題である。これこそ、いま叫ばれている“働き方改革”そのものではないだろうか。社員達は、黙っているが自分の会社の取り組みを、自身の将来と重ね合わせてしっかりと見ている。自社の大切な人材を失わないためにも、肝に銘じておきたい。

SRC・総合労務センター 株式会社エンブレス 特定社会保険労務士 佐藤正欣】

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経営者・事業部門責任者から部長・課長・リーダー層まで、経営の根幹を支える人たちの成長を支援するパートナーメディアを目指します。日々の業務に役立つニュースや小ネタ、組織強化や経営理論まで幅広く学べる記事を提供します。

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