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長時間労働是正が新たなイノベーションを生む!?

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経営者と労働者は区別すべき

 念のためここで断っておくと、働くことが好きな経営者が昼夜を問わず働くことは別の話である。しかし自分がそうだからと、社員に対して直接的・間接的であれ強制することは間違っている。なぜなら、経営者と社員では置かれた立場や考え方に自ずと違いがあるからだ。経営者は、自社サービスを提供するための生産手段を有している。その生産手段を用いて得た成果(利益)は、基本的には経営者に帰属する。経営者が労働時間で仕事をしないのは言わば当たり前のことである。一方で社員は生産手段を持たず、経営者が提供する生産手段に対し、自らの“労働力”を提供することで賃金を得ている。だから「労働時間」という概念から切り離して考えることはできない。したがって、同じ働くという行為に対し、両者は区別して考えなければならない。

発想の転換の重要性

 とはいえ、サービス産業が主流のなか、確かに労働時間と生産性は必ずしも比例関係ではなくなった。だから労働時間のみで規制する法が現在に馴染まないという意見も一理あると言える。しかし、このことに労力を割くのであれば、経営者は限られた時間のなかでより効率的に働かせる手段をどのように構築すべきか考えることを優先すべきではないだろうか。それが経営者の仕事だと思うからである。
 日本電産創業者である永守重信氏は、元日の午前を除き365日働くことで有名だ。また、母の姿から学んだ「人の倍は働け」という信念の持ち主でもある。朝まで働くことを当たり前としていた社長が「2020年に残業ゼロを目指す」改革を打ち出した。記事では「僕らの時代、会社が小さいうちは朝まで働くのも当たり前やった。能力がなければ時間をかけて働くしかないが、海外企業は残業しなくても業績を上げている」とし、改革に乗り出したのは「成長への脱皮を図るため」だと述べている(平成28年11月29日付産経新聞)。そう簡単にクリアできる課題ではないだろう。ただ、日本電産はグローバル化が進み、外国人労働者が全体の9割を占めている。これだけ働くことが大好きな社長であっても、これまでの自分のやり方を見直し、100年先まで存続する企業を目指して方針転換を図っているのである。さすがは、数々のM&Aを成功させ、一代で精密小型モーター製造・開発分野で世界一のシェアを誇る売上高1兆円超の企業までにした経営者だと感じた。

おわりに

 自社の置かれている現状が、業界的に長時間労働が当たり前だと結論づけてしまうことは簡単である。そこから考えなくてよいからだ。しかし、現状を疑う眼を持たなければ、自社の行く末はじり貧である。きっと誰しもがそんなことはわかっているだろう。でも、変えていくためには気力も体力も時間も必要だ。自己に都合の良い様々な理由を考え、ついつい後回しにしているのではないか。私たちも、永守社長のように、限られた時間でいかに効率よく成果をあげていくべきか、ドラスティックに自社の方針転換を推し進めるべきではないだろうか。なぜなら、こうした変革の中から新たなイノベーションが生まれると思うからである。


SRC・総合労務センター 株式会社エンブレス 特定社会保険労務士 佐藤正欣】

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経営者・事業部門責任者から部長・課長・リーダー層まで、経営の根幹を支える人たちの成長を支援するパートナーメディアを目指します。日々の業務に役立つニュースや小ネタ、組織強化や経営理論まで幅広く学べる記事を提供します。

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