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日本柔道復活にみるマネジャーの重要性

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 リオオリンピックが閉幕した。連日、日本選手の活躍が報じられていたが、その中でもとりわけ日本柔道復活を日本国民として大変嬉しく感じた。
 過去最多となるメダル獲得に加え、男子柔道はすべての階級でメダル獲得という大快挙である。この結果に、復活請負人を託された日本代表監督である井上康生氏(以下「井上監督」)の偉業に注目が集まっている。そこで本稿では、報道ベースのため、あくまでも筆者の推測の域を出ないが、井上監督の偉業という観点からマネジャー(マネジメント)の本質を考えてみたい。

マネジメントとは何か?

 経営学辞典によれば「マネジメント(=management)」とは、経営活動という多くの人達が分担して行う協働活動において、各人の能率化を図るとともに、個々の活動が全体としての調和を保ちながら一つの目的に向かって進むよう経営活動全体を合理化していくために営まれる活動だとされる。経営学の父ドラッカーは、著書『マネジメント』の中でマネジャーの役割として次の2つを説いている。
 第一は、オーケストラの指揮者になぞらえ、個々人(オーケストラでは各パート)の弱みを消し、強みを上手に融合しながら、組織全体として一つの大きな価値を生みだす生産体(生きた音楽)を創造する役割。
 第二は、あらゆる決定と行動に際して、いま必要とされるものと将来必要とされるものを比較調和していく役割。
 すなわち、マネジメントは経営の四要素(ヒト・モノ・カネ・情報)を効率化して、組織が掲げる目的を達成すべく、より良い結果を創出するための環境づくりを不断に行う手法であり、これを担う者をマネジャーと捉えることができよう。

日本における「マネジメント」の誤解

 ところが、日本において「マネジメント」は「管理」として訳されることが一般的である。ここから連想されるのが、“統制”や“従わせる”といった類のニュアンスだ。労働の現場では、この意味に引っ張られて人事管理や労務管理が語られることが多いように感じる。だから仕事の割り振りや指示することに重きが置かれ、高圧的・威圧的であることがマネジメントであり、マネジャーの役割だと勘違いしてしまう。昨今のパワハラ問題も、こうした誤解がはびこっていることが一因ではないかと推察される。本来の「マネジメント」が持つ意味は、より良い結果に繋げるための手法であり、その意味での人事管理や労務管理でなければならないのである。

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