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殺処分ゼロを目指すソーシャルビジネス「猫付きマンション」

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猫の居場所をつくるために物件は厳選

猫の居場所をつくるために物件は厳選

 総務省統計局が2014年7月29日に発表した「2013年における住宅・土地統計調査」によると、首都圏、中京圏、近畿圏を合わせた3大都市圏の賃貸住宅の空室率は全国平均18.4%。1978年の11%から年々上昇している。賃貸物件のオーナーにとっては、猫付きマンションは、+αの付加価値で猫好きの入居者を呼び込める魅力がある。東京キャットガーディアンが定期的に開催している「猫付きマンション勉強会」には東北や関西など首都圏以外の不動産関係者からの問い合わせも多く、毎回盛況だと言う。しかし、魅力の乏しい物件を猫付きにしても入居者が入らなければ猫の居場所をつくることはできない。そのため、「都市部で人気のある駅で、利便性が高い物件を厳選している」(山本さん)と言う。
 山本さんは音楽イベント会社の社長という顔をもつ経営者でもある。猫付き賃貸住宅は殺処分ゼロを実現するための一つの手段であり、継続性が求められるあるソーシャルビジネスだ。猫の命を1匹でも多く助けるために、居場所となる物件の確保には慎重を期している

殺処分ゼロに必要なのは「愛情ではなく、システム」

 山本さんが2015年11月にニッセイ基礎研究所 不動産投資チーム 主任研究員の松村徹氏と共著で出版した『猫を助ける仕事 保護猫カフェ、猫付きシェアハウス』(光文社新書)には、30代、50代といった働きざかりの飼い主が末期ガンと診断され、東京キャットガーディアンに愛猫を託した際の哀切かつ感動的なエピソードが綴られている。これまでに譲渡された5000頭あまりの保護猫たちの後ろには、彼らのように愛と責任感がありながら、不測の事態によって猫と暮らせなくなった飼い主たちが少なからずいるに違いない。環境省の調査によれば、2015年だけで猫約10万頭が殺処分されている現実がある。
 「誰も望んでいない殺処分。足りないのは愛情ではなくシステムです」。東京キャットガーディアンのホームページにはこう謳われている。犬と猫の飼育数は2014年に約2000頭となり、15歳未満の子供の数1605万人を大きく上回っている。システムの整備は待ったなしである。
 しかし発想を変えれば、こうした問題はそれを解決する新しいビジネスを生み出す土壌ともなるのだ。
 次回は「猫付きマンション・シェアハウス」のオーナーと住人たちの現状と想いについてレポートしてみたい。

【経営プロ編集部 ライター:島崎由貴子】

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