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殺処分ゼロを目指すソーシャルビジネス「猫付きマンション」

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入居すると猫が付いてくる「猫付マンション」とは?

入居すると猫が付いてくる「猫付マンション」とは?

 空前の猫ブームといわれる中、入居すると自分で選んだ猫と一緒に暮らせる「猫付きのマンション」が注目を浴びている。これは、NPO法人「キャットガーディアン」が展開する仕組みで、キャットガーディアンが保護している猫と、提携している賃貸マンションに一緒に入居ができるというものだ。「猫付きマンション」に入居するには、通常の入居審査に加えて、キャットガーディアンによる書類審査と個人面談を受ける。経済力を含め飼育適正があるかどうかを判断するのだ。この審査に合格すると、キャットガーディアンが保護している猫のうち1歳以上の成猫の中から相性の合う猫を選び、晴れてマンションで飼うことができるのだ。

目的は保護成猫の居場所を増やすこと

 「猫付きマンション」の仕掛け人は東京キャットガーディアン代表の山本葉子さんだ。山本さんは子供の頃から動物好きで、2002年に豊島区の自宅で殺処分の恐れのある約30頭の猫の保護を開始した。やがて保護猫の数が増え、2008年に東京キャットガーディアンを立ち上げて、大塚と西国分寺に猫カフェ型開放型シェルターを開設。2010年には特定非営利活動法人(NPO法人)を取得した。同団体は2016年5月までに5000頭の猫を動物愛護相談センター(保健所)から引き取り、里親へ譲渡している。
 1頭が里親に譲渡されれば、シェルターにスペースが空き、新たな1頭の命を救うことができる。だが、子猫の里親はすぐに決まるが、成猫は時間がかかることも多い。1頭でも多く猫を助けるために、成猫の居場所を増やす手段として考案したのが2010年9月からスタートした日本初の「猫付きマンション」だった。
 同団体では、2014年8月から、保護猫がグループで暮らす日本初の「猫付きシェアハウス」も開始した。シェアハウスの各部屋は家具と猫専用のドア付きで、猫たちが自由に出入りできるようになっている。現在稼働しているのは、四谷・自由が丘・上板橋・荻窪・ひばりケ丘・武蔵関の80戸ほどで、この夏には大阪にも登場。既に20頭の成猫が入居中だ。
目的は保護成猫の居場所を増やすこと

猫OK物件の不足と賃貸住宅の空室率問題

 猫付きマンションが誕生した背景には、猫が飼える賃貸物件の少なさ、そして賃貸住宅の空室率の上昇がある。
 ペットフード協会の統計によると、「ペット飼育の阻害要因」の第1位は「集合住宅に住んでいて禁止されているから」だった。特に20代で48.8%と第1位、30代でも32.2%と「お金がかかるから」に次いで第2位にあげられている。賃貸に住む若い世代は、猫を飼いたくても、ペット不可であるために諦めている実態が浮かび上がる。
 さらに問題なのは、「ペット可」物件であっても、「猫可」とは限らないことだ。筆者もかつて猫を飼える賃貸物件を探し、苦労した経験がある。ペット可を謳いながら、よく見ると「犬のみ」の賃貸物件が多いからだ。
 猫は気まぐれに外に出るから部屋を汚したり匂いをつけるし、壁紙や床、柱をひっかいて傷をつける。そうした「猫は何かと厄介」というイメージを持ち続けている不動産オーナーが多いらしい。
 しかし近年、都市部では猫は修正室内飼いがほとんどだ。トイレのしつけも譲渡や販売される時点でちゃんとされているから、物件そのものに影響する汚れや匂いがつくとは考えにくい。壁紙や床、柱の傷は敷金を1ヶ月分上乗せすることで修繕費を賄うことが可能だ。
急な転勤で自己所有のペット可マンションや戸建てから賃貸住宅に住み替えなければならなくなった時、この猫可物件の少なさが大きなネックとなる。とはいえ、近年の空室率の上昇で状況は変わってきている。
猫OK物件の不足と賃貸住宅の空室率問題

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