
某生命保険会社のCMではないが、企業は自社の社員が「1up」も「2up」も成長することを望んでいるだろう。労働の担い手が減少する中で、社員が働きがいを感じてもらうとともに、長く定着してもらうことの重要性は増しており、喫緊の課題でもある。そこで本稿では、社員のモチベーション向上と、企業の評価のあり方を考えてみたい。
マイナス面の評価ではないか?!
心理学では「外発的動機づけ」と「内発的動機づけ」という分類がある。前者は外部からの刺激で意欲が湧くというものだ。例えば、子供が親から「算数のテストで100点を取ったら○○を買ってあげる」と約束するケースを思い浮かべるとわかりやすいだろう。対して「内発的動機づけ」は、自己の内面から自然と湧き出る意欲とされる。すなわち、褒美等は関係なく算数に興味があり、純粋に好きだという点が原動力となる。一般に両者を比較したとき、前者よりも後者の方がモチベーションの持続性は高いと言われる。
とはいえ、自分の好きなことを仕事にした者や、第一志望の会社に就職できた者ならば内発的動機づけに期待が持てるだろう。しかし、このような者は相対的にみて少ないのが現実だ。だから企業は、社員を評価するという外からの刺激…すなわち外発的動機づけの面から社員のやる気を喚起しようと試みてきたと思われる。ただ日本の評価は、マイナス面の評価に陥りがちだ。できないことの方に目を向けてしまうのである。それでなくとも評価という外からの働きかけは持続性が低いにも関わらず、これでは意欲が湧くどころか衰退してしまう。
とはいえ、自分の好きなことを仕事にした者や、第一志望の会社に就職できた者ならば内発的動機づけに期待が持てるだろう。しかし、このような者は相対的にみて少ないのが現実だ。だから企業は、社員を評価するという外からの刺激…すなわち外発的動機づけの面から社員のやる気を喚起しようと試みてきたと思われる。ただ日本の評価は、マイナス面の評価に陥りがちだ。できないことの方に目を向けてしまうのである。それでなくとも評価という外からの働きかけは持続性が低いにも関わらず、これでは意欲が湧くどころか衰退してしまう。
中小企業(以下A社)の事例から
A社は従業員数35名程のサービス産業に属する中小企業である。毎年決算終了後、社員全員が出席する報告会を開催している。この会は、社長が社員に対して決算内容や来期の目標・方向性を説明する場だが、社員の1年間の頑張りを称えあう場(表彰式)でもある。その一つの賞が「縁の下の力持ち賞」である。
賞が贈られるまでの順序を説明しよう。まず、役員を除く社員全員に1票が与えられる。投票基準は、賞の名前の通り、一年を通じて人目のつかない日の当たらないところであっても、他者がスムーズに仕事ができるよう陰ながら自分の役割を考えて行動したと思う人の名前を各人が投票用紙に書いて1票を投じる。もちろん、それが自分自身だと思えば自己に投じても良い。得票数が多かった上位3名が発表され賞が贈られるという非常にわかりやすい仕組みだ。
今年はこの賞で得票数2位を得た社員がいた。この一年間の自分の仕事ぶりが評価されたことの驚きと嬉しさが込み上げたという。入社して4年…初めて自分の仕事ぶりが周囲に認められた瞬間だったそうだ。きっかけは、育児休業から復職した先輩社員と一緒に仕事をするようになり、先輩社員の仕事ぶりに触発され、自分の仕事の仕方や立場・役割を考えて仕事をするようになったことであった。受賞後、自分に自信が持てるようになり、仕事が楽しく俄然やる気に満ち溢れているという(もっとも、A社には先輩社員が後輩の手本となるような人材育成にも力を入れていることは誤解のないようここで断っておく)。
この表彰制度も「評価」することの一つである。しかし評価は評価としても、次の点に特徴がある。
第一は、表彰の過程に透明性と公平性が確保されていることだ。明確な評価基準もなく、上司から部下に一方的にする評価は不満しか残らない。たとえフィードバックする機会があったとしてもこれは同じことだと考える。
第二は、社員の良い面に光を当てて評価している点だ。良い面を更に伸ばす試みとも言える。
第三は、そのプラスの変化を周りの社員が気づき、認め合う場面の提供を会社が設けていることである。
第四は、評価を反映させるところが社員の生活基盤となる給与ではない点だ。マイナス評価を貰わないよう、給与が下がらないよう、脅す動機づけで働かせることは早晩限界が訪れる。このような手法をとらなくとも、仲間(他者)から承認されることで、先の社員のように働きがいや満足度を高めることができている。そしてプラスの連鎖が生まれ、組織全体の活性にも繋がっているのである。
賞が贈られるまでの順序を説明しよう。まず、役員を除く社員全員に1票が与えられる。投票基準は、賞の名前の通り、一年を通じて人目のつかない日の当たらないところであっても、他者がスムーズに仕事ができるよう陰ながら自分の役割を考えて行動したと思う人の名前を各人が投票用紙に書いて1票を投じる。もちろん、それが自分自身だと思えば自己に投じても良い。得票数が多かった上位3名が発表され賞が贈られるという非常にわかりやすい仕組みだ。
今年はこの賞で得票数2位を得た社員がいた。この一年間の自分の仕事ぶりが評価されたことの驚きと嬉しさが込み上げたという。入社して4年…初めて自分の仕事ぶりが周囲に認められた瞬間だったそうだ。きっかけは、育児休業から復職した先輩社員と一緒に仕事をするようになり、先輩社員の仕事ぶりに触発され、自分の仕事の仕方や立場・役割を考えて仕事をするようになったことであった。受賞後、自分に自信が持てるようになり、仕事が楽しく俄然やる気に満ち溢れているという(もっとも、A社には先輩社員が後輩の手本となるような人材育成にも力を入れていることは誤解のないようここで断っておく)。
この表彰制度も「評価」することの一つである。しかし評価は評価としても、次の点に特徴がある。
第一は、表彰の過程に透明性と公平性が確保されていることだ。明確な評価基準もなく、上司から部下に一方的にする評価は不満しか残らない。たとえフィードバックする機会があったとしてもこれは同じことだと考える。
第二は、社員の良い面に光を当てて評価している点だ。良い面を更に伸ばす試みとも言える。
第三は、そのプラスの変化を周りの社員が気づき、認め合う場面の提供を会社が設けていることである。
第四は、評価を反映させるところが社員の生活基盤となる給与ではない点だ。マイナス評価を貰わないよう、給与が下がらないよう、脅す動機づけで働かせることは早晩限界が訪れる。このような手法をとらなくとも、仲間(他者)から承認されることで、先の社員のように働きがいや満足度を高めることができている。そしてプラスの連鎖が生まれ、組織全体の活性にも繋がっているのである。
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