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M&A需要で資金調達を急ぐ企業が増加、その勝算は?

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景気回復後、利益が出ているのに内部留保を溜め込んでいるとさんざん批判されてきた日本企業。麻生財務大臣には「守銭奴」とまで言われ、「もっと積極的に投資を」と尻を叩かれていたが、どうやらその流れが変わってきたようだ。

日本経済新聞の報道によると、最近、企業が市場からの資金調達を増やす動きが世界的に目立っている。株式や社債発行で調達した金額は、今年1~7月に全世界で約1兆9600億ドル(約240兆円)となり、過去最高を塗り替えるペース。年内に米国利上げが行われると予想され、そうなると各国の金利などにも影響するため、「いまのうちに低金利で資金を確保しておこう」と駆け込み的に調達を急ぐ企業が多いようだ。

企業が資金調達に意欲的になっている背景にあるのは、経営者の意識の変化。「そろそろ成長のための投資をしよう」という、守りから「攻め」への転換だ。米国では社債発行で得た資金を自社株買いに使う例が多かったが、最近はM&Aに向けた調達が目立つという。

日本でも同様で、「攻め」の姿勢でM&Aを検討する企業の動きが活発になってきている。中でも、最近、日本経済新聞社が英高級紙フィナンシャルタイムスを買収したニュースは、「まさか日本の新聞が?」という驚きとともに世界中を駆け巡った。買収金額は約1620億円。日本経済新聞によれば、「日本のメディア企業による海外企業の買収案件として過去最大」だという。

日本企業には成長戦略の一つとしてM&Aをどんどん進めてほしいものだが、気がかりなのは、これまで日本企業が行ってきたM&Aには、成功したといえるケースが多いとはいえないこと。たとえば、医薬品メーカーの第一三共は、2008年に約5000億円をかけてインドの後発医薬品メーカー、ランバクシー・ラボラトリーズを買収したが、うまくいかず、2014年に売却する結果となった。売却額は4000億円を下回ったと報道されている。

日本企業は「海外企業を買収してもなかなか成功できない」、「M&Aがヘタだ」と言われがちだが、それはなぜなのか。最も大きい理由は、日本企業が「多様性」(ダイバーシティ)をうまく扱う経験がまだまだ少ないことだろう。だから、日本企業の特殊性を海外でも押しつけてしまったり、いろいろなことが暗黙の了解の下に行われ、ルールが不明確なため、外国人にわかりにくかったりといったことが起こってしまう。

M&Aを成功させるためには買収前の調査(デューデリジェンス)、買収後のPMI(買収後の経営統合)のノウハウも大事だが、文化も慣習も考え方も違う人々と一緒にビジネスをやっていくベースとして、多様性をマネジメントできる人材がいるかということも大きなカギになりそうだ。

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経営者・事業部門責任者から部長・課長・リーダー層まで、経営の根幹を支える人たちの成長を支援するパートナーメディアを目指します。日々の業務に役立つニュースや小ネタ、組織強化や経営理論まで幅広く学べる記事を提供します。

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