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不正行為の再発と組織の自浄能力

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「社員力」の低下が自浄能力の発揮を阻む

 また、不正行為を犯した企業では社員の退職が進む傾向が強い。このようなとき企業を去ることを決意するのは、得てしてその企業の「優秀な社員」である。次代を担う若手・中堅クラスの中心メンバー、スキルが高く人望の厚いベテラン社員、高度な技術を保有する専門職社員などが勤務の継続を断念しやすいものである。自身が所属する企業に失望し、経営陣・上司・同僚の言動に失望したとき、エンプロイアビリティ(雇用に値する能力)の高い社員ほど新しい環境を求めて企業を離れる傾向が強いようである。

 反対にパフォーマンスの低い社員の中には、企業に失望し、経営陣・上司・同僚の言動に失望しても、「何とか自分だけはこの会社で生き残ろう」と考えて立ち振る舞うケースも散見される。不正行為の発覚直後から、自分自身が社内で生き残るための根回しや個別交渉などの社内政治活動に奔走する者がいるのも現実である。

 以上のように、不正行為が発覚した結果、企業によってはパフォーマンスの低い社員、当事者意識に欠ける社員、被害者意識を持つ社員などの構成割合が高くなってしまうケースが存在する。そのような組織の場合、「自浄能力」の発揮は困難であり、経営の悪化、不正の再発の可能性が高くなってしまうだろう。もちろん、不正・不祥事事件の発覚を契機に多くの社員が “強い当事者意識” を持って経営改善に向けて一致団結したケース、優秀な社員が企業内に留まり経営再建に奔走したケースなども存在する。しかしながら、一般論としては、不正・不祥事事件の発覚後から企業が保有する “社員力” “人材力” が大きく低下してしまう組織が多いことは否めないようである。

 不正行為が発覚した後で企業経営を正常化するのは極めて困難である。従って、「不正行為が発生したらどう経営を立て直すか」ではなく「いかにして不正行為を発生させないか」に注力することが重要になる。そのためには、社員一人ひとりに『高度な倫理観』を植え付けることが必須となる。「企業の倫理観」は社員一人ひとりの倫理観の集合体だからである。


コンサルティングハウス プライオ
代表 大須賀 信敬(中小企業診断士・特定社会保険労務士)

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経営者・事業部門責任者から部長・課長・リーダー層まで、経営の根幹を支える人たちの成長を支援するパートナーメディアを目指します。日々の業務に役立つニュースや小ネタ、組織強化や経営理論まで幅広く学べる記事を提供します。

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