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不正行為の再発と組織の自浄能力

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 過去に大きな不正・不祥事事件を起こした企業が、時が経ち、再び不正・不祥事に手を染めてしまうことがある。一度、不正行為を犯した企業は自浄能力を発揮することはできないのだろうか。

「当事者意識」が生まれづらい組織体制

 不正・不祥事事件を起こした企業の中には2種類の社員が存在する。不正行為に直接関与した社員と不正行為には関与していない社員である。この不正行為には関与していない社員は、自身が所属する企業の不正・不祥事事件をどのように捉えるものなのだろうか。

 もちろん、“大きな反省の念” “顧客・消費者に対する申し訳ない感情” を抱く社員が多いことであろう。しかしながら、自身が不正行為に直接関与していない場合には、どこか他人事のような思いで、不正行為発覚後の事の成り行きを見守ってしまうケースも少なくない。

 決して “反省の思い” がないわけではないのだが、あたかもテレビドラマを見ているかのごとく、日々の出来事を第三者的に捉えてしまうことがある。とくに、直接、一般消費者と接することが少ないセクションに所属する社員の場合には、不正行為の発覚に伴う一般消費者からの厳しいクレーム対応などに追われることが少ない。そのため、自分自身が大きな社会的批判の当事者であることを認識しづらくなる傾向にあるようである。

企業内に芽生える「被害者意識」

 不正行為を犯した企業に所属している場合、自身は不正にまったく関与していない社員であったとしても、勤務上、大きな影響を被ることがある。たとえば、給与・賞与がカットされる、福利厚生制度が縮小・廃止されるなどの処遇の悪化が典型である。また、組織の再編が行われた結果、自身の所属するセクションが解体され、不慣れな業務や苦手な仕事に取り組まざるを得ないケースも発生する。

 不正行為の内容によっては社員本人だけではなく、社員の家族が学校や地域コミュニティで生活しづらくなるなどの影響を被ることもある。家族までもが社会的制裁の対象になってしまうかのようなケースも現実に発生することがあり、企業が犯した不正行為が社員の企業内生活だけでなく社会生活にまで影響を及ぼしてしまうことがあるものである。

 不正行為に関与していない社員が上記のような状況に陥ったとき、大きな “反省の思い” を持ち続けることは決して容易ではない。業務に対するモチベーションが大幅に下がってしまうのはもとより、中には「なぜ、何もしていない私がこのような目に遭わなければいけないんだ」というような「被害者意識」に近い感情を持つケースさえ発生する。

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