
シンクタンクの矢野経済研究所が、国内のデジタル印刷市場に関する調査結果を2016年2月2日に発表した。2015年度の市場規模(事業者売上高ベース)は前年度比29.4%増の3,847億円に達すると予測。この拡大要因の一つとしてマイナンバー制度関連の需要の取り込みを挙げている。これはマイナンバーの通知業務に関する受託案件と、その後に発生するマイナンバー収集業務に関する受託案件だ。個人番号通知カードは日本国内の全世帯に送付されるため、特に通知業務に関する受託案件は、これまでにない大規模なアウトソーシング需要となり、これが大幅拡大の主な要因になるという。
一方で、2016年度は同19.0%減の3,115億円に縮小すると分析した。マイナンバー制度関連の通知業務の需要は一過性のものであるため、2016 年度の市場規模は大幅に減少すると考えられているが、一方でマイナンバーの収集業務の需要は今後さらに拡大すると予測されており、2014 年度と比較すると2016 年度の市場規模は拡大する見通しである。こうしたマイナンバー制度関連の需要がもたらす好影響は2017 年度~2018 年度あたりまで続くものと見込まれ、今後数年も市場規模を押し上げる要因になると考えられている。
一方で、2016年度は同19.0%減の3,115億円に縮小すると分析した。マイナンバー制度関連の通知業務の需要は一過性のものであるため、2016 年度の市場規模は大幅に減少すると考えられているが、一方でマイナンバーの収集業務の需要は今後さらに拡大すると予測されており、2014 年度と比較すると2016 年度の市場規模は拡大する見通しである。こうしたマイナンバー制度関連の需要がもたらす好影響は2017 年度~2018 年度あたりまで続くものと見込まれ、今後数年も市場規模を押し上げる要因になると考えられている。
BPOによるデジタル印刷ビジネスの可能性
デジタル印刷市場の過去数年の規模推移を振り返ってみると、2013 年度は、前年度比6.2%増の2,876 億円となっているが、これは経済環境および企業業績の回復傾向を受けて、特に金融業の顧客からのDPS(データプリントサービス、以下DPS)と、BPO(ビジネスプロセスアウトソーシング、以下BPO)案件の受託が増加したことが要因に挙げられるという。さらに2014 年度も、引き続き金融業からの受託案件が増加し、市場を牽引しており、前年度比3.4%増の2,973 億円と成長率は減少したものの、市場規模は拡大している。
次に分野別の動向を見てみると、まずDPS 分野では、案件単価の減少やWeb 化に伴う紙需要の喪失、案件の小ロット多品種化など、市場環境が厳しさを増す中、フルデジタル印刷によってコストメリットや新たな付加価値を顧客に提案することで、紙出力の案件を確保、引いては売上げの確保を推進する動きが、売上上位のDPS 事業者を中心に目立ってきている。また、上位の事業者では、DPS から受託業務内容を拡大させたBPO の実績も増加傾向にあるという。
カタログや教材、製品マニュアル、POP などの品目におけるショートラン(小ロット・短納期)印刷においても、異業種からの参入企業を巻き込んだ小ロット需要を巡る熾烈な価格競争が起きている中、デジタル印刷による印刷物の受注だけにこだわらず、その周辺のアウトソーシングニーズを取り込んで、ワンストップでサービスの提供を目指す方向にシフトし始めている。同様に、オフセット印刷を主力とする事業者においても、デジタル印刷単体だけではなく、オフセット印刷案件やその付帯サービス、またはそれらにIT 技術を付加させた複合的な提案をすることにより、顧客の業務をワンストップで請け負うことで、自社の売上拡大に繋げている事業者が増加しているという。
次に分野別の動向を見てみると、まずDPS 分野では、案件単価の減少やWeb 化に伴う紙需要の喪失、案件の小ロット多品種化など、市場環境が厳しさを増す中、フルデジタル印刷によってコストメリットや新たな付加価値を顧客に提案することで、紙出力の案件を確保、引いては売上げの確保を推進する動きが、売上上位のDPS 事業者を中心に目立ってきている。また、上位の事業者では、DPS から受託業務内容を拡大させたBPO の実績も増加傾向にあるという。
カタログや教材、製品マニュアル、POP などの品目におけるショートラン(小ロット・短納期)印刷においても、異業種からの参入企業を巻き込んだ小ロット需要を巡る熾烈な価格競争が起きている中、デジタル印刷による印刷物の受注だけにこだわらず、その周辺のアウトソーシングニーズを取り込んで、ワンストップでサービスの提供を目指す方向にシフトし始めている。同様に、オフセット印刷を主力とする事業者においても、デジタル印刷単体だけではなく、オフセット印刷案件やその付帯サービス、またはそれらにIT 技術を付加させた複合的な提案をすることにより、顧客の業務をワンストップで請け負うことで、自社の売上拡大に繋げている事業者が増加しているという。
ワン・トゥ・ワン・マーケティング時代の切り札
また出版印刷分野におけるデジタル印刷の活用に関しては、コストと品質という課題は残っているものの、出版社が自らデジタル印刷機を活用し始めたことで、出版社の意識が変わり始めており、出版業の従来のビジネスモデルにデジタル印刷の入る余地が生まれている。現在、出版社やデジタル印刷機メーカーも含めた各事業者では出版業の新たなビジネスモデルの実現に向けた提案が活発化しているという。
また近年は、全顧客に同じ内容のダイレクトメールを送るのではなく、各顧客の志向に合わせて1枚1枚内容を変えるダイレクトメール=バリアブルDMの利用が増えている。これを可能にしているのが、顧客情報の分析力向上と、バリアブル印刷の技術的進歩だ。バリアブル印刷とは、データベースから情報を抽出し、1枚ずつ内容の違う可変印刷を行うこと。これを活用することで、より戦略的なマーケティング活動が実現でき、ワン・トゥ・ワン・マーケティング時代の切り札として大きな期待を集めている。
矢野経済研究所では、近年デジタル印刷市場は拡大傾向にあるが、ここ数年、市場では二極化の傾向も見られると分析。すべての参入事業者が市場拡大を実感しているわけではないようだ。また市場環境も厳しい状況が続く見通しで、今後もマイナンバー制度関連の需要を主要因として、市場は拡大することが見込まれるが、この恩恵に与ることができるのは一部の事業者だけになると見ている。
こうしたことから各事業者も危機感を抱いており、試行錯誤を繰り返しながら、従来の印刷ビジネスからの脱却を図る動きを強めている。その中で、デジタル印刷のメリットを活用したソリューションサービスへの志向は高まっており、印刷事業者にとっては、この流れにいかに付いていけるかが鍵になるだろう。
また近年は、全顧客に同じ内容のダイレクトメールを送るのではなく、各顧客の志向に合わせて1枚1枚内容を変えるダイレクトメール=バリアブルDMの利用が増えている。これを可能にしているのが、顧客情報の分析力向上と、バリアブル印刷の技術的進歩だ。バリアブル印刷とは、データベースから情報を抽出し、1枚ずつ内容の違う可変印刷を行うこと。これを活用することで、より戦略的なマーケティング活動が実現でき、ワン・トゥ・ワン・マーケティング時代の切り札として大きな期待を集めている。
矢野経済研究所では、近年デジタル印刷市場は拡大傾向にあるが、ここ数年、市場では二極化の傾向も見られると分析。すべての参入事業者が市場拡大を実感しているわけではないようだ。また市場環境も厳しい状況が続く見通しで、今後もマイナンバー制度関連の需要を主要因として、市場は拡大することが見込まれるが、この恩恵に与ることができるのは一部の事業者だけになると見ている。
こうしたことから各事業者も危機感を抱いており、試行錯誤を繰り返しながら、従来の印刷ビジネスからの脱却を図る動きを強めている。その中で、デジタル印刷のメリットを活用したソリューションサービスへの志向は高まっており、印刷事業者にとっては、この流れにいかに付いていけるかが鍵になるだろう。
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