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顧客をつくるためのマーケティングとセールス

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全てはマーケティングのためのもの

全てはマーケティングのためのもの

 利益を上げるためには売上が必要で、誰もが顧客をつくることを目指している。接点ができた段階では未だお互いを十分には知らず、何らかの働きかけを通じて、購入を意思決定した顧客が創出されていく。この一連のプロセスこそが最も重要なのもで、マーケティングからセールスの機能として提供される。経営者にとっては積極的に管理し、最もリソースを注ぎ込みたい仕事である。
 「マーケティング以外は全てマーケティングのためのものであり、全てのことがマーケティングのためにある」と言う経営者もいる。言い換えると、全ての従業員が直接あるいは間接的にマーケティングに関わるべきだと言っても過言ではない。
 はたして、貴社では顧客をつくるためのマーケティングは機能しているだろうか? 顧客創出に貢献しているだろうか?

マーケティングとセールスを結合する



 マーケティングとセールスの関係については注意が必要だ。マーケティングは「潜在顧客を見つけること」が役目で、セールスは「販売に結びつけること」であると認識している人が多いが、この間にはどうしてもギャップがある。つまり、この距離を埋める(橋渡しをする)活動が必要なのだが、担当部門の役割が明確でなく、プロセスが寸断されているというのが実態だ。潜在顧客を顧客に導くには、マーケティングとセールスを結合する機能を備えなければならない。

潜在顧客に対する醸成活動こそが売上につなげる最も有効な方法

 潜在顧客はその購入意思の度合いによって大きく3つに分類できる。当初は認知したレベルで(cold)、その状態から何らかを契機に購入意識が醸成され(warm)、具体的な検討に移り、購入の意思決定を行う段階(hot)に至る。多くの企業では、この「購入意識を醸成する(warm→hot)」機能が弱い。潜在顧客を手放さず関係をつなげていく、「warm→hot」にするためのフォローアップが必要で、この活動こそが売上を上げる最も有効な方法なのだ。
 通常はマーケティング部門が潜在顧客に直接コンタクトして、どの段階にあるかを見極め、その後の関係維持活動を担っていく。このフォローアップは、定期的に継続的に、かつ多様なメディアを活用して行うようにしたい。また、顧客情報を最新に保つように気を配らないといけない。ただ、このようなフォローアップは長期に及び、労力の割には成果に乏しいものであり、継続するのは難しい仕事である。

 マーケティング先進国の米国では、このフォローアップ活動を重視していて、「リードナーチャリング(LeadNurturing)*」と呼び、マーケティングのリソースを積極的に投入している。

(*)潜在顧客を管理、育成し、絞り込むこと。具体的なステップは、潜在顧客の情報を「蓄積・整備し、コニュニケーションを通じて、育成し、分析し、見込み客を絞り込む」活動である。マーケティング用に構築したWebサイトへのアクセスからニーズや意思決定のタイミングを入手して活用しているところが多い。

本当に大切な資産は顧客との信頼関係である

 会計上の資産リストの数字は当てにならない。条件によって簡単に金額が変わってしまうからだ。本当に大切な資産は顧客であり、顧客との信頼関係である。マーケティング活動で得られたリレーション(情報)は、現時点で利益に貢献しなかったとしても貴重な財産である。そして、その情報は最新に保つことが前提となる。
 ただ、ほとんどの企業ではこの資産を粗雑に管理しているようだ。実はこれが本当の経営資産であって、ここにもっと投資すべきだ。この「将来の利益の源泉」である潜在顧客との関係性は、意識したマーケティングと強いマネジメントによってのみ維持される。
 机の引き出しに名刺が埋もれていないだろうか?もしかしたらそれは宝の山なのかもしれない。


【事業価値向上パートナー・柴田隆博】

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経営者・事業部門責任者から部長・課長・リーダー層まで、経営の根幹を支える人たちの成長を支援するパートナーメディアを目指します。日々の業務に役立つニュースや小ネタ、組織強化や経営理論まで幅広く学べる記事を提供します。

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