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労使双方幸せな企業になるための就業規則活用法(後編)

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 『服務規律』をあまり重要視していない企業も多いが、当事務所においては重要な規定と位置づけている。服務規律がきちんと定めてあれば、違反があったときに懲戒処分ができるという側面もあるが、定める一番のメリットは、服務規律を全従業員が守ることで仕事に対する姿勢が変わり、しいては業績向上につながるということではないかと思う。

服務規律と就業規則

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第4章 服務規律
 第71条 服務の基本原則

 社員は、会社の一員としての自覚と責任に徹し、業務に精励し、就労時間中は自己の業務に専念しなければならない。
2 職務遂行にあたっては、業務上の指揮命令に従うとともに、同僚とも相互に協力して、作業能率の向上に努めつつ、社業の発展に貢献するよう努めなければならない。
3 社員は、本規則および本規則に付随する諸規程等に定める事項を誠実に遵守するほか、職場規律および社内秩序の維持、健全な職場環境の保持のために会社が行う施策に積極的に協力しなければならない。
4 社員は、第●条(研修)に規定する研修の他、会社が実施する就業規則や各種法令遵守等の研修に参加しなければならない。 
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割れ窓理論と服務規律

 『割れ窓理論』をご存知だろうか。
 窓ガラスを割れたままにしておくと、その建物は十分に管理されていないと思われ、ごみが捨てられるようになり、荒廃し、やがてその地域の環境が悪化し、凶悪な犯罪が多発するようになる、という犯罪理論である。軽犯罪を取り締まることで、犯罪全般を抑止できるといわれている。
 かつてアメリカ有数の犯罪多発都市であったニューヨークでは、1994年に市長のルドルフ・ジュリアーニがこの理論を取り入れ、ニューヨーク市を再生へと導いたそうだ。
 上手くいっている企業に電話をかけると感じの良い対応をしてくれるが、そうでないところは、感じが悪い。上手くいっている企業に訪問すると、清潔感あふれるオフィスだが、そうでないところは、なんだかちらかっている。
 こういう経験をされたことのある方は多いのではないだろうか。そこで働く人が割れ窓に無関心であれば、社内に無秩序を生み、あらゆるところに影響が出てくるのではと思う。
 例えば、服務規律の条文であいさつの奨励を定めていることも多いと思う。あいさつをすることは当たり前のことなので、わざわざ就業規則に定める必要がないのではと思われる方もいるかもしれないが、パワハラが起こっている現場等、職場環境が悪化している場合、あいさつが行われていないケースが多く見受けられる。
 相手の存在を認めることを「承認」というが、あいさつは最も身近な承認である。
 心理学者であるアブラハム・マズローは、人間の欲求は、低階層から、「生理的欲求」「安全欲求」「社会的欲求」「承認欲求」「自己実現欲求」の5段階のピラミッドのように構成されていて、低階層の欲求が充たされると、より高次の階層の欲求を欲すると提唱している。
 もし、職場であいさつが行われていない場合、最上位の欲求である自己実現、つまり、個人として成長していきたいという思いにつながらなくなってしてしまい、職場のモチベーションが低下する問題が生じるというわけである。
 壊れ窓を防止するだけではなく、モチベーション向上にもつながる『服務規律』。就業規則に定めるだけではなくぜひ活用して頂きたいものだ。
 当職も窓のサッシの埃を厳しくチェックする姑のように、厳しい目で当事務所内の割れ窓に目を光らせている今日この頃である。


松田社労士事務所 
特定社会保険労務士 松田 法子

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 経営プロ編集部

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経営者・事業部門責任者から部長・課長・リーダー層まで、経営の根幹を支える人たちの成長を支援するパートナーメディアを目指します。日々の業務に役立つニュースや小ネタ、組織強化や経営理論まで幅広く学べる記事を提供します。

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