経営・ビジネスの課題解決メディア「経営プロ」

『年金一元化』で高齢経営者の年金が減額される?

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

「年金一元化で高齢社長の年金がカットされる!」という話をご存知だろうか。これまで年金を満額もらえていた高齢の企業経営者の公的年金が、『年金一元化』が始まった今年10月分以降は減らされてしまうケースがあるというのである。

役員報酬の受領で老齢年金がカットされることも

 もともとわが国の年金制度には、民間企業の会社員が加入を義務付けられる「厚生年金」と公務員が加入を義務付けられる「共済年金」が存在した。しかしながら、同じ “国の年金制度” であるにもかかわらず「共済年金」のほうが有利な点が多いことが以前から問題視されていた。そこで、働いている組織・立場によって加入制度が異なる仕組みを改善し、雇われて働いているのであれば等しく同じ制度に加入し、受け取れるものも同じにしようという『年金一元化』が今年10月から実施されることになった。

 このような説明を聞くと、高齢経営者の年金受け取りは『年金一元化』とは関係がないように思えるかもしれないが、実はそうではない。一元化のスタートに伴い、従来の厚生年金のルールが一部変更になっているためである。

 わが国の年金制度には、年金を受け取りながら企業で勤務している場合に、勤務先から受け取っている給料やボーナスの金額によっては、年金の支給額を減らす「在職老齢年金」という年金調整の仕組みが存在する。具体的には「年金の1ヵ月分」「給料の1ヵ月分」「過去1年間に受け取ったボーナスを12で割った額」の3つの金額を足し、基準となる額を超えると年金の減額が始まる仕組みである。

78歳以上の経営者が新たな減額のターゲットに

 この制度は、もともとは70歳未満の人だけに適用される仕組みであった。しかしながら、平成19年度からは70歳以上で現役同様に働いている場合にも適用されるように制度が変更されている。70歳以上の場合には、「年金の1ヵ月分」「給料の1ヵ月分」「過去1年間に受け取ったボーナスを12で割った額」の3つの金額を足して47万円を超えた場合には、超えた金額の半分の額が1ヵ月分の年金から差し引かれるのが原則の仕組みである。

 ただし、制度がスタートした時点ですでに70歳以上の方は年金減額の対象から除外し、制度開始後に新たに70歳になる方のみを年金減額の対象として制度はスタートしている。制度がスタートした当時に70歳以上の方とは、生年月日では「昭和12年4月1日以前生まれ」の方が該当する。

 この仕組みが本年10月の『年金一元化』のスタートとともに、従来、年金調整の対象外とされていた「昭和12年4月1日以前生まれ」の方も減額の対象とするよう変更された。「昭和12年4月1日以前生まれ」というと、現在、78歳以上の方が該当することになる。つまり、現在、78歳以上で現役同様に働いている場合、今までは満額をもらえていた年金が、10月分以降は減額される可能性があるということになる。


《次ページに続きます》

お気に入りに登録

関連ニュース

会員登録 / ログイン

会員登録すると会員限定機能や各種特典がご利用いただけます。 新規会員登録

会員ログインの方はこちら