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採用にコストをかけよう!

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はじめに

はじめに

 毎年4月の一括採用に加え、数年前から留学生の増加も相まって秋採用を行う企業が増えているようである。採用内定が出された新卒者は10月の入社に向けて準備をしている頃だろう。
 そこで今回は「採用」について考えてみたい。貴社は採用にどのくらいのコストをかけて実施しているだろうか。大企業は別としても、300人未満の中小企業では採用に対して意外と費用をかけていないのが筆者の実感である。なぜ採用にコストをかける必要があるのか…それを以下で確認していきたい。

「採用前」と「採用後」の決定的違い

 労働関係諸法令の整備と行政指導によって近頃は採用・契約の自由が規制される傾向にあるものの、原則として企業には採用の自由と契約の自由が認められている。このモデル裁判例として有名なのが「三菱樹脂事件(最大判昭48・12・12)」だ。基本的に誰を採用するかは企業側の自由だが、あくまでそれは採用前に限ってである。
 同判例では「企業者は、労働者の雇入れそのものについては、広い範囲の自由を有するけれども、いったん労働者を雇い入れ、その者に雇用関係上の一定の地位を与えた後においては、その地位を一方的に奪うことにつき、雇入れの場合のような広い範囲の自由を有するものではない」と述べている。これを換言すれば、「労働者を採用してしまった後は、採用前のような広範な自由は認められず、よほどのことがない限り解雇は難しいですよ!」ということだ。だからこそ、採用の自由を余すところなく行使すべく採用活動には費用をかけて臨む必要があり、問題のありそうな社員は採用の水際で排除することが重要となってくるのである。

採用は大きな買い物だ!

 人材採用を買い物とはいささか表現が適切ではないかもしれない。がしかし、わかりやすく表現するためにご容赦いただき、社員の人件費を考えてみて欲しい。年収400万円の社員で考えた場合、単純計算でも10年間で4,000万、20年間で8,000万、30年間で1億2,000万になる。高級車を何台購入できるだろう。また土地や建物も購入できる金額である。そしてこれは単発で完了しないということだ。今月は経営が苦しいから給料は無しね…なんてことはできない。毎月固定的に会社から出ていく継続的な固定費である。
 賃金のみを捉えても大きな額であるが、これに付随する様々な負担も忘れてはならない。法定福利費をはじめ、賞与原資・退職金積み立て、福利厚生費、研修費等々だ。正社員を雇用することによってかかる諸経費は、最低でも所定内給与の1.2倍程度になる。企業にとって、人を採用するということは大きな買い物に他ならないのだ。


《次ページに続きます》

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