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米国ベビーシッター事情と有料会員制サイト「シッターシティ」

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子ども放置は違法のアメリカ

子ども放置は違法のアメリカ

 日本でワーキングマザーが頼るのは保育園だが、米国のワーキングマザーにとって、子育てのブレーンとして欠かせないのが「ベビーシッター」の存在だ。ベビーシッターを雇う背景には、日本と異なる事情がある。アメリカでは「子供を守る法律」が日本よりも厳しい。年齢は州によって異なるが、およそ8歳以下の子どもを車に放置したり、12歳以下の子供だけを家に残すことは違法である。日本では小学校高学年ともなれば、子どもが一人で家に帰り、塾や習い事に行くことが普通に行われているが、アメリカではスーパーマーケットの駐車場に車を停め、そこに子どもを残していっただけでパトカーが駆け付け、母親が逮捕された事件もあったほどだ。そのような行為は児童虐待と見なされる。

 もう一つ、アメリカの保育園は一般的に日本より高額で、融通がきかないのも理由の一つだ。日本では自治体と世帯収入によって料金は異なるものの、料金は最高額でも月5~6万円が一般的だ。アメリカではその倍以上払うところも珍しくない。4歳と1歳の子どもをもつボストン在住の日本人夫婦は、週2回、妻がパートタイムで働くときだけ保育園に預けているが、朝9時から16時までの利用で約1200ドル払っている。1ドル120円として14万4000円だ。しかも、お迎えが契約の時間より5分でも遅れたら追加料金をとられると言う。これは大半の職場が定時で終わり、保育園も例外ではないためだ。

 ボストンは冬に大雪が降れば、保育園は休園になるが、会社は休みではない。子どもを家に一人ではおけないので、親が近くにいて頼れなければ、ベビーシッターに依頼することになる。さらに、大都市にはコンサルティング会社や投資銀行など、高収入だが早朝会議や出張、会食を伴うような仕事についている女性が少なからずいる。その場合、信頼できるベビーシッターに家に来てもらった方が時間の融通がきくし、精神的にラクという人も少なくない。

ベビーシッターは紹介が第一の選択肢

 それではどうやってベビーシッターを雇うかだが、大切な子どもの命を預けるのだから、第一の選択肢は紹介や口コミだ。前述した日本人夫婦はやはり紹介で、必要な時だけ、近くの大学に通う学生に時給16ドル(約1900円)で頼んでいると言う。しかし、学生は授業にでなければならないので、あくまでアルバイトだ。フルタイムで英語がきちんと話せ、放課後に勉強を教えてくれるような教養のあるベビーシッターとなると、なかなかハードルが高くなる。

 2007年にスカーレット・ヨハンソン主演の『私がクマにキレた理由(“The Nanny Diaries”)』という映画があった。大卒できちんとした英語を話し、子どもに勉強も教えられる白人女性のナニー(子守)は稀少価値で、マンハッタンに住む上流家庭の人々の間で非常に人気があるという設定で、ヨハンソンがそのナニー役を演じていた。教育に熱心な富裕層では、単に面倒を見てくれるだけでなく、育児のスキルが高く、教養もある信頼できるベビーシッターを探したいという需要は大きくなっている。

有料で良いシッターが探せる「シッターシティ」

 そうしたニーズに応えたサイトの一つが「Sittercity(シッターシティ)」だ。このサイトの特徴は、子育て中の家庭が有料会員となり、最寄りで評判の良いシッターを検索できる仕組みになっている。通常のジョブサイトは、ユーザー側でなく、業者側が料金を払って情報を掲載する仕組みだが、それではベビーシッターの広告サイトになってしまう。同サイトは、ユーザー側を有料の会費制にすることで、本当に信頼できるベビーシッターの情報のみを掲載するという、逆のサービスモデルを採用している。求職シッターの掲載にあたっては、登録された個人情報から身元調査を行うことに加えて、過去の利用者からの採点による格付も公開している。

 そのため、同サイトに掲載されているベビーシッターの時給は、15~25ドル程度と一般的な相場よりも高い水準になっている。また、大卒など高学歴の女性が多いのも特徴だ。さらに、普通のベビーシッターとプロのベビーシッターを分けていて、プロは「ナニー」と呼んでいる。ナニーの多くは、急病時の応急処置や心肺蘇生のライセンスを取得していたり、教師の経験者も含まれるため、幼児の英才教育なども任せられる。その分、時給も高くなり、20~30ドルが料金相場になる。


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