
深層心理を読み取るAI(人口知能)ルミノソ
産業革命は手作業の機械化が生まれ、生産性が飛躍的に向上したことで、巨大な組織や体制を支えるために「マネジメント」が発明された。ところが、AI(人口知能)の技術進化と利用が進みつつある今、近い将来マネジメントの仕事は、「どこを人間に任せ、どこをAIに任せるべきか」を判断する必要に迫られるだろう。なぜなら、既にAIは人間の仕事を代行するだけでなく、人間ができないことまでできるようになっているからだ。
2010年にMITメディアラボからスピンアウトして開発された「Luminoso(ルミノソ)」は、消費者や従業員に対して行うアンケート調査の回答やソーシャルメディアに書き込まれる投稿内容から、直接的には書かれていない感を読み取ることができるAIソフトだ。一般的なアンケート調査では、大半のユーザーが商品やサービスへの満足度に対して、「普通」または「良い」という評価をする割合が高いが、実際には不満を抱えているケースは少なくない。逆に、不満や苦情を言う消費者は、その会社のことが必ずしも「嫌い」というわけではなく、むしろ一般的な消費者よりも好意的に思っていて、適切な対応をすれば優良客に育つ見込みがある。
2010年にMITメディアラボからスピンアウトして開発された「Luminoso(ルミノソ)」は、消費者や従業員に対して行うアンケート調査の回答やソーシャルメディアに書き込まれる投稿内容から、直接的には書かれていない感を読み取ることができるAIソフトだ。一般的なアンケート調査では、大半のユーザーが商品やサービスへの満足度に対して、「普通」または「良い」という評価をする割合が高いが、実際には不満を抱えているケースは少なくない。逆に、不満や苦情を言う消費者は、その会社のことが必ずしも「嫌い」というわけではなく、むしろ一般的な消費者よりも好意的に思っていて、適切な対応をすれば優良客に育つ見込みがある。
アマゾン社員1,800件のレビューを分析
ネットに書かれている投稿内容からも、投稿者の心理を探ることは有効だ。こんな事例がある。8月中旬に『New York Times』紙は「アマゾンの職場は悲惨だ」とする暴露記事を掲載した。データ重視の苛酷な企業文化がホワイトカラーの従業員を使いつぶしているというのだ。ベゾスCEOが即座にそれを否定してさらに話題が広がったのだが、「この記事の内容をデータで検証できる」と主張する企業が、ルミノソを開発したルミノソ・テクノジーズだった。
米ワイヤード誌が8月20日に掲載した「アマゾンのハードワーカーたちはよりアマゾンが好き(“AMAZONIANS WHO WORK TOO MUCH LIKE AMAZON”) 」によれば、ルミノソは、社員が自分の勤める職場の実態を投稿できるサイト「Glassdoor.com」にアマゾン従業員が投稿したおよそ1,800件のレビューほぼすべてを詳しく分析した。分析対象には、レビューに書かれた肯定的または否定的な感想だけでなく、述べられている不満が、従業員のアマゾンに対する星の評価にどの程度影響しているかという点も含まれた。要するに、その不満が日常的な愚痴にすぎないのか、それとも、アマゾンに対する全体的な意見に影響しているのかが判断されたのだ。
米ワイヤード誌が8月20日に掲載した「アマゾンのハードワーカーたちはよりアマゾンが好き(“AMAZONIANS WHO WORK TOO MUCH LIKE AMAZON”) 」によれば、ルミノソは、社員が自分の勤める職場の実態を投稿できるサイト「Glassdoor.com」にアマゾン従業員が投稿したおよそ1,800件のレビューほぼすべてを詳しく分析した。分析対象には、レビューに書かれた肯定的または否定的な感想だけでなく、述べられている不満が、従業員のアマゾンに対する星の評価にどの程度影響しているかという点も含まれた。要するに、その不満が日常的な愚痴にすぎないのか、それとも、アマゾンに対する全体的な意見に影響しているのかが判断されたのだ。
職場環境に不満な社員ほどアマゾンが好き
その結果、アマゾンの職場環境に不満を言っている従業員ほど、じつはアマゾンに高い評価を与えていることが判明した。それは、ハードワークである反面、次々と新たなビジネスにチャレンジしていく刺激は、他の職場では経験できないという理由によるものだった。その他の肯定的な評価につながる要因は、「プロジェクトの規模と難しさ」「チャンス」「自主性」「成長」だった。
「われわれの調査によれば、アマゾンでのワークライフバランスについて否定的な意見を持ち、Glassdoorで自社の悪い点としてワークライフバランスを挙げていた従業員であっても、従業員の評価に関する当社モデルの予測スコアを実際には高めていた」とルミノソ社は述べている。こうした人間の深層にある感情は、アンケート結果を単純に集計するだけでは見えてこないが、人工知能によって回答内容を詳しく分析することにより、浮き彫りにすることができる。
CEOで共同創業者のキャサリン・ハバシ(Catherine Havasi)によれば、ルミノソは、言葉の独自の分類する能力があり、例えスラングが語彙に入った場合でも、新しい単語としてそれを認識し、文脈を手がかりにしてその意味を推測することが可能だと言う。AIには意思はない。だが、意思がないゆえに偏見なくビッグデータを分析することができる。マネジメントはAIがもたらす膨大なポテンシャルを認識し、キカイやソフトと上手く付き合いながら、新たな価値を生み出す時代に入っているようだ。
【経営プロ編集部 ライター:島崎由貴子】
「われわれの調査によれば、アマゾンでのワークライフバランスについて否定的な意見を持ち、Glassdoorで自社の悪い点としてワークライフバランスを挙げていた従業員であっても、従業員の評価に関する当社モデルの予測スコアを実際には高めていた」とルミノソ社は述べている。こうした人間の深層にある感情は、アンケート結果を単純に集計するだけでは見えてこないが、人工知能によって回答内容を詳しく分析することにより、浮き彫りにすることができる。
CEOで共同創業者のキャサリン・ハバシ(Catherine Havasi)によれば、ルミノソは、言葉の独自の分類する能力があり、例えスラングが語彙に入った場合でも、新しい単語としてそれを認識し、文脈を手がかりにしてその意味を推測することが可能だと言う。AIには意思はない。だが、意思がないゆえに偏見なくビッグデータを分析することができる。マネジメントはAIがもたらす膨大なポテンシャルを認識し、キカイやソフトと上手く付き合いながら、新たな価値を生み出す時代に入っているようだ。
【経営プロ編集部 ライター:島崎由貴子】
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