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実は難しい事業収益性の評価

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コスト構造を正しく理解する

コスト構造を正しく理解する

 経営者にとって「事業の収益性向上」はいつの時代でも4大課題の一つとなっている(4大課題:収益性の向上、売上・シェア拡大、人材の育成・強化、新製品・サービス・事業の開発)。収益性を上げるには、まず現在の状態を把握・評価することから始まる。

「収益=利益=売上-費用(総原価)」

と算出されるので、収益(利益)は売上と原価に分解される。収益を最大化するということは、「売上を増やす」、「原価を減らす」、「原価の増分以上に売上を増やす」、「売上の減少分以上に原価を減らす」のいずれかになる。

 そのためには、売上と原価に影響する情報を製品・サービス毎に定量的に把握する必要がある。財務会計や決算情報から欲しい情報が得られればよいが、その目的が違うため実態を把握するのは容易ではない。適切な情報を収集し分析できる仕組み・仕掛けがないと実現は難しい。

 では売上と原価を分解して、その構造を把握してみよう。最初に原価構造について。原価の中身は旧来の財務会計から取得できそうだが、いくつかの問題がある。

 まず、財務会計の利益対象は売上として計上されたものだけだということ。売れなかったもの(在庫など)は原価とは別勘定(資産)となる。間接費についても独自の配賦基準により割り振られ、実態に即したものか疑わしい。そして決定的なことは、固定費と変動費が区別されていないことである。これが分らないと、正味の利益(限界利益)が把握できない。

 この限界利益は、「売上-変動費」で算出され、その取り引きの純粋な儲けを意味する。つまり、財務会計ではなく管理会計の考え方でコストを把握することが求められる。さらに、個々の費目もできるだけ分解しておくと、より深い分析が可能になる。たとえば、外部購入費も総額だけでなく明細が欲しい。仕入先のコスト構造もある程度掴んでおきたい。

業務プロセスがコストをかえる

 以前、コスト削減専門のコンサルタントが、「元々、地球上のものはタダであって、人が関わって何かをするからコストが生まれる」と言われていた。これは極端だとしても、人の関わり方によってコストは違ったものになる。

 人の関わり方、すなわち業務プロセスがコストを増加させる要因例として、以下のようなものが思い浮かぶ。「業務の重複、ムダ」、「不完全、低品質の業務による工程後戻り」、「不適切なリソース配分や役割」などだ。必要のない業務は生産性を低下させ、業務コストそのものを増大させる。これらはリードタイムや品質にも悪影響を及ぼす。

 業務プロセスは、人がコストを使って価値を創造していく工程である。何に時間を費やし、どんなコストを使うかで、最終的な結果に影響を与えるのは当然と言える。業務プロセスの中で最終的な価値に貢献しないものは、その業務で消費されるコストも不要と判断できる。

収益性向上をシンプルに考える

 収益性向上を検討するには、売上と原価をさらに分解して、どこに焦点を当てるかを決めるとわかりやすい。

増やすもの・・・ 売上 = ①単価 × ②数量
減らすもの・・・ 原価 = ③固定費 + ④変動費

 このように分解した場合は、以下のようなアプローチの方向性が考えられる。
①単価:差別化、ブランド価値向上、高付加価値化
②数量:マーケティング強化、販売力強化
③固定費:事業見直し、プロセス改革、財務戦略
④変動費:設計・調達改善、プロセス最適化

 もちろん、これらはトレードオフの関係になることもあり、個別の環境を見極める必要がある。全体最適の視点が大前提であり、個別原価ではなく総原価の低減に注力することがポイントだ。特定の工程や原価項目が改善されても、最終的に顧客に届けるコストが改善されなければ意味が無いのである。


【事業価値向上パートナー・柴田隆博】

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