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お金を介さない新たなシェアリングエコノミーの潮流「フード・スワップ」と「タイムバンク」

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高齢者も参加できる「フード・スワップ」

高齢者も参加できる「フード・スワップ」

これまでの資本主義の考え方は、人が豊かで幸せに暮らすには、お金が絶対的に必要だった。しかし、お金はそれほどなくても、手持ちのモノや長年身に付けたスキルや知識をシェアすれば、幸福に暮らすことができるのではないか。これがシェアリングエコノミー(共有経済・共同消費)の根幹となる考え方だ。貨幣が流通する以前、人間は物々交換や労働力を貸し借りして暮していた。その原点に戻るような潮流が、いま資本主義の本家本元というべきイギリスやアメリカで起こっている。「フード・スワップ」と「タイムバンク」だ。

 シェアリングエコノミーはスマホを使いこなす人しか参加できないイメージがあるが、中年や高齢者が参加しやすいタイプのものもある。例えば、アメリカでは自家製の食品を物々交換する「フード・スワップ・ネットワーク(Food Swap Network)」という団体が立ち上がり、開催方法などを公開している。ネットワークに参加している人たちはスワッパー(Swapper)と呼ばれ、ホームメイドのパンやジャム、ケーキ、プクルス、あるいは自分の畑で収穫した野菜や果物、飼っている鶏が産んだ卵といった食品を直接交換する。

 スワップは2時間程度の集まりだ。最初の30分は名札に名前を書いたり、持ってきた食品をセットしたり、スワップシートと呼ばれる食品をシェアしたい人が名前を書き入れる用紙を置いたり、互いに挨拶したりして過ごす。そして、次の30分から1時間はメンバーが持ち寄った食品やその説明を見たり、サンプルを食べてみたりして、気に入ったらスワップシートに書き込む。そして、最後の30分は各々が自分の食品を展示した場所に戻り、シェア希望者を確認。実際に食品の交換をするのである。

異なる労力を交換できる「タイムバンク」

フード・スワップは手持ちの食品を交換する活動だが、生活するには食品だけでは足りない。このような流れが進めば、大工仕事と食品、食品と手作りの服、あるいは、大工仕事と芝刈りなど、種類の違うモノやサービスを交換したいというニーズがでてくる。具体的には「ベビーシッター」と「屋根の修理」が同じ1時間の労力ならば、お金のやり取りをせずに、相互でスキル交換するのだ。但し、ベビーシッターが必要な時と屋根の修理が必要な時はタイミングが異なるため、自分が提供した労力の対価としてタイムマネーを貯めておくことができるような仕組みが必要となる。このようなタイムマネーを管理する団体は「タイムバンク」と呼ばれている。

 米国や英国では、異なる労力をシェアするために、「その仕事に費やした時間」を基準にしたタイムマネー(時間通貨)を溜められるローカルなタイムマネーバンクが多数立ち上がっている。これはお金を介さずに、地域住民の労力をシェアリングすることで、生活を充実させていこうとする取り組みだ。その中の1つ、米国のワシントンD.Cを本拠地とする「TimeBanks USA」は、全米各地の自治体や市民グループに対して、タイムバンクの運営方法やノウハウをサポートしている。

 例えば、この団体のホームページで紹介されているカリフォルニア州の「ロングビーチ・タイム・エクスチェンジ」という市民グループにはスタートして3年間で450人のメンバーがいる。ロングビーチは人種・宗教・職業・スキルなど様々なバックグラウンドを持つ人々が住む多様なコミュニティなのだ。ここでは、例えばマリアが2時間誰かに料理を教えると、1時間が1クレジットに換算され、2クレジットとなる。クレジットはタイムコーディネーターが管理しており、マリアは1クレジットをバイクの修理に、もう1時間をプロのレジメ(履歴書)作成に使用した。

《次ページに続きます》

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