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問題社員は辞めさせるのではなく入社させないのが一番

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問題社員を解雇したいという経営者はとても多い。就業規則を整備したいという理由の一つになっている。
しかし、労働基準法には解雇の条文は少なく、わずか数条である。解雇制限(19条)、解雇予告(20条)、解雇予告の適用除外(21条)の条文だ。不当解雇であるか否か争われた場合の基準などは、実は労働基準法には条文がない。

解雇が不当か否かは民事。会社の勝訴は困難という現実

従業員が解雇され、それが不当か否かの争いになれば基本的に民事の争いになる。しかし、裁判になった場合には会社が勝訴するのは極めて難しい。問題社員であっても解雇するのは容易ではない。また、仮に解雇が可能な事例であっても、解雇はできる限り避けたいという会社も多いだろう。
それでは、問題社員に対応する最も良い方法はなんであろうか?

そもそも入社させないこと。そのために採用を見直すことだ。問題を起こしそうな社員は最初から雇わないのが一番。それに勝る方法はないだろう。

問題社員が一人いると職場の雰囲気が悪くなる。会社の信用を失ってしまうこともある。たった一人で会社を救った従業員というのは少ないが、たった一人で会社を危機に陥れた従業員はたくさんいる。

しかし、仕事のできる社員をどうやったら採用できるかについてはほとんどの会社が考えているのに、どうやったら問題社員を雇わないですむかについて考えている会社は少ない。

実際、「優秀な社員を採用したい」という経営者からの相談は頻繁にあるが、「問題社員を採用しないようにしたい」という相談はほとんどない。

どんなに魅力的でも問題のある応募者は絶対に採用しないこと

良い人材がいると、つい悪い点については目をつむってしまいがちになる。しかし、それがそもそもの失敗だ。どんなに魅力的に思えても問題のある応募者は絶対に採用しないという強い意志が必要だ。

応募者も面接時には演技をしているから本当のことを見抜くのは難しいとよく言われる。確かに、仕事のできる社員を見抜くのは難しいかもしれない。しかし、入社後に問題行動を起こす可能性のある人材を見抜くのは、それほど難しくはないと考えられる。

例えば、入社面接で平気で嘘をつく人を採用することは危険である。入社後に嘘の報告をしてきたりする可能性が高いし、そもそも信頼関を築くことはできないからだ。

嘘を見抜くのは難しいことだろうか。確かに、きちんと準備してきた内容については嘘を見抜くのは難しい。質問を繰り返し掘り下げていくという方法を用いる会社が多いだろうが、わずかな時間で見抜くには経験が必要になる。また、やりすぎると圧迫面接になりかねない。

だが、準備してきていないであろう内容についてはどうだろうか? その場で答えた内容について、日を変えて同じ質問をしてみると良い。嘘でなければ、返ってくる内容は変わらないはずだ。その場でついた嘘を後日まで覚えていることは難しい。嘘であれば内容が変わってくるであろう。ただし、「前回もお聞きになりましたよね」などと受験者に言われかねないので、質問の仕方には気をつけていただきたい。

なお、退職時に秘密保持などの誓約書をとろうとする会社は多い。しかし、その誓約書にサインをしれくれないという話をよく聞く。問題社員ほどそのような誓約書にはサインしてくれないものだ。そのような誓約書のサインは、退職時ではなく入社時にサインをもらっておくことをお勧めする。

【フェスティナレンテ社会保険労務士事務所 小嶋 裕司】

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