
日本の年金制度には、年金受給者に扶養する配偶者がいる場合、「配偶者加給年金額」という割り増しを付けて年金を支払う仕組みが用意されている。ところが現実には、「年金に割り増しが付くと思っていたのに、付いていない」というケースが少なくない。そこで、前編に引き続き、後編でも「老後の年金に“配偶者の割り増し”が付かない事例」を検証してみよう。
【ケース4】配偶者が高収入の場合
前編では、老後の年金に配偶者の割り増しが付かない3つのケースを紹介した。今回は4つ目のケースとして、「配偶者が高収入の場合」から解説しよう。
まず、次のようなプロフィールの夫婦について考えてみたい。法人を経営する夫は厚生年金に40年の加入実績があり、まもなく老齢厚生年金を受け取れる年齢を迎えるとする。一方、妻は趣味を活かした起業が成功し、前年の年収は900万円である。この夫婦の家計は、主に夫が受け取る役員報酬で賄われているとしよう。
ところが、一家の家計を支えるこの夫の年金に、扶養する配偶者がいることによる割り増しが付くことはない。理由は妻が高収入だからである。
配偶者の割り増しが夫の老齢厚生年金に付くようにするためには、原則として妻の前年の年収が「850万円未満」であることが必要とされる。このケースでは、妻の前年の年収が900万円なので、家計が主に夫の役員報酬で賄われていたとしても、年金の割り増しの対象にはならないのである。
まず、次のようなプロフィールの夫婦について考えてみたい。法人を経営する夫は厚生年金に40年の加入実績があり、まもなく老齢厚生年金を受け取れる年齢を迎えるとする。一方、妻は趣味を活かした起業が成功し、前年の年収は900万円である。この夫婦の家計は、主に夫が受け取る役員報酬で賄われているとしよう。
ところが、一家の家計を支えるこの夫の年金に、扶養する配偶者がいることによる割り増しが付くことはない。理由は妻が高収入だからである。
配偶者の割り増しが夫の老齢厚生年金に付くようにするためには、原則として妻の前年の年収が「850万円未満」であることが必要とされる。このケースでは、妻の前年の年収が900万円なので、家計が主に夫の役員報酬で賄われていたとしても、年金の割り増しの対象にはならないのである。
【ケース5】配偶者が年上の場合
配偶者の割り増しが付かない5つ目のケースは、「配偶者が年上の場合」である。
例えば、妻は夫よりも1歳年上としよう。夫が老齢厚生年金を受け取れる年齢である65歳を迎えたときには、妻の年齢は66歳である。また、夫婦の家計は、企業経営者である夫の役員報酬のみで賄われているとする。
このようなケースでは、夫に厚生年金の十分な加入実績があり、妻の前年の年収が0円であったとしても、夫の老後の年金に配偶者の割り増しが付くことはない。理由は夫が老齢厚生年金を受け取れる年齢になったときに、扶養する妻の年齢が65歳以上だからである。夫の老齢厚生年金に対する配偶者の割り増しは、妻が65歳になるまでの期間限定措置である。妻が65歳になれば、妻名義の年金が支払われるようになるので、経済的負担を考慮して夫の年金に割り増しを付ける必要性がなくなるためである。
このケースでは、夫が老齢厚生年金をもらえる65歳に達したときに、妻の年齢が66歳であるため、配偶者の割り増しが可能な年齢をすでに超過している状態にある。そのため、夫には割り増しのない年金が支払われることになる。
老後の年金に配偶者の割り増しが付く期間の長さは、配偶者の年齢に依存する。夫が長期間の割り増しを受け取るには、妻が夫よりも年下であり、加えて夫婦の年齢差が大きいことが必要となる。
例えば、妻は夫よりも1歳年上としよう。夫が老齢厚生年金を受け取れる年齢である65歳を迎えたときには、妻の年齢は66歳である。また、夫婦の家計は、企業経営者である夫の役員報酬のみで賄われているとする。
このようなケースでは、夫に厚生年金の十分な加入実績があり、妻の前年の年収が0円であったとしても、夫の老後の年金に配偶者の割り増しが付くことはない。理由は夫が老齢厚生年金を受け取れる年齢になったときに、扶養する妻の年齢が65歳以上だからである。夫の老齢厚生年金に対する配偶者の割り増しは、妻が65歳になるまでの期間限定措置である。妻が65歳になれば、妻名義の年金が支払われるようになるので、経済的負担を考慮して夫の年金に割り増しを付ける必要性がなくなるためである。
このケースでは、夫が老齢厚生年金をもらえる65歳に達したときに、妻の年齢が66歳であるため、配偶者の割り増しが可能な年齢をすでに超過している状態にある。そのため、夫には割り増しのない年金が支払われることになる。
老後の年金に配偶者の割り増しが付く期間の長さは、配偶者の年齢に依存する。夫が長期間の割り増しを受け取るには、妻が夫よりも年下であり、加えて夫婦の年齢差が大きいことが必要となる。
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