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イケアが提唱する2025年のライフスタイルとキッチン

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今年、世界最大の家具販売店イケアは、2025年の未来のキッチンをデザインし、イタリアのミラノに開設したイケア・テンポラリーというショールームで4月9日から半年間だけの展示を行っている。これはイケアと世界的なデザイン会社IDEOのロンドン事務所、それに2つの大学、スウェーデンのルンド大学デザインスクールとオランダのアイントホーフェン工科大学の学生たちとの18ヵ月にわたる共同研究に基づいて考案されたものだ。彼らは10年後の我々の生活がどのように変わっているかについて調査し、その結果を「2025年の世界」にまとめている。

それによると、2025年には人口の60%は大都市に集まり、人口密度が高くなって、不動産価格が上昇、住宅はコンパクトになる。在宅勤務がスタンダードになり、コンピュータだけでなく、家電やその他のシンプルなデバイスにもセンサーやCPU、送信装置などが装備されている。家族は一つ屋根の下で独立した生活をおくるようになる。一方、食物は現在より40%高くなり、水やエネルギーもより貴重なものとなるだろう。そうした変化の中で、キッチンは家族をつなぐ碇のような役割を果たすというのだ。

共働きの家庭が増え、時間に追われる生活の中で、我々がキッチンで過ごす時間はどんどん減っている。料理をする代わりに買ってきた惣菜の残りを保管したり、古いコーヒーを温め直したり、保存のきくスナックなどを保管する場所になっているのだ。イケアはそうした人々にキッチンに戻ってもらい、料理や食物に対する愛情を再発見するための刺激的な場所にしたいと考えている。

 プロジェクトの結果をもとにイケアがデザインした未来のキッチンは、部屋の中央にしつらえたシングルテーブルだ。彼らはそれを「生活のためのテーブル(“the Table for Living”)」と呼ぶ。一見シンプルなただのテーブルだが、そこにはハイテク機器が埋め込まれている。食物をテーブルにおけば、上部のカメラがそれを認識して、レシピやそのための材料がそのうえに投影される。その指示に従って、テーブルの表面に鍋をおき、すぐに料理を始めることもできる。この多目的キッチンは、料理の準備、調理、そしてその上で食べるという3つの機能を備えているのだ。この省スペースな多機能キッチンは、大都市のマンションにおけるキッチンデザインに革命をもたらすかもしれない。

食物の保管に関しては、イケアは近代パントリー(食糧庫)と称して、格納した物がすべて見えるオープン・シェルフ・システムを奨励している。これは貴重な食物を無駄にしないために有効だ。食材がすべて目に見える状態なら、そこに何があるか常に把握できるので、賞味期限や消費期限が切れるまでに活用しなければと思うだろう。

さらにイケアは、リサイクルする廃棄物のシステムも考案した。プラスチックや紙など、リサイクルできるゴミのタイプを分類し、色分けされた穴にひょいと入れると、圧縮・真空パックされて、回収される準備ができているというものだ。彼らは水でさえリサイクル・ウォーターの使用を推奨し、そのための機器を開発した。シンクを「安全」サイドの方へ傾けると飲料や食器洗い機、その機器の上におかれたハーブなどに水をやることができる。そしてもう片方の「飲料以外に」に傾けると、洗濯などに使うリサイクル・ウォーターがでてくる仕組みだ。

10年後はすぐそこにある。イケアの未来のキッチンプロジェクトは、いまある生活の延長線上に製品開発するのではなく、未来のライフスタイルを提案することの大切さを教えてくれる。そのキーワードは地球環境の保護であり、貴重となる資源をいかに活用するかという概念である。

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経営者・事業部門責任者から部長・課長・リーダー層まで、経営の根幹を支える人たちの成長を支援するパートナーメディアを目指します。日々の業務に役立つニュースや小ネタ、組織強化や経営理論まで幅広く学べる記事を提供します。

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